アイドルのいない月曜日

入信しました。

重く軽く良いくらい

実は木曜日に電車の中で初めてちゃんと聴いたんですけど。けど。「XYZ=repainting」名盤でない?(2月入ってフィギュアにかまけている場合ではマジでない。)

と、いうことで音楽的語彙がマジでない超適当な感想です。

ちなみに事前に聴いたことがあったアルバム曲は「忘れられない花」と「Unreality」で、どちらも淡々としたオシャレ~~~な曲調だったものだから、悪くはないけど舵の切り方が激しい……と戸惑っていた。のだけれど、言ってしまうと私の好き系の楽曲がね、それ以外のトラックにめっちゃ入っていた。超満足!!!とりあえず初回盤B(ごほうびSexyグルメツアー収録)を抑えてあったのだけれど、ユニット曲も気になるので通常盤も必要……。

とにかく、とりあえず聴いてほしい。

XYZ=repainting(通常盤)

XYZ=repainting(通常盤)

 

 

まずPEACH!」ね、いやこれ、Sexy Girls第2弾か、なるほどなるほど……てごく自然に思ってしまったのだけれど、マジで女子ドルコス来ないの?まだツアー始まってないからシュレディンガーのSexy Girls。見たい。絶対見たい。

ちゃんと書くと、女性詞なんですね。ざっくり「キミ」との新しい恋にわくわくスキップ!オシャレして出かけよ!て感じで、コスメのCMタイアップ来てないのが完全におかしい。*1「メイク」「チーク」「ネイル」「ベビーピンクのルージュ」と、男性アイドルが歌うにしては珍しいほど散りばめられたワード。大サビを引用しておく。

ベビーピンクのルージュ 塗ったなら PEACH!

素直な気持ちで

このドアの向こうにキミがいる ほら

踏み出せ!

新しい恋に会いに行こう PEACH!

音がする方へ

この先の先もキミといるような

気がしているんだ

キミのいる方へ

ほら桃のようにフレッシュで柔らかくて春っぽいチーク・ネイル・ルージュ売る気しか感じられないでしょ、なぜ店頭に並んでいないのだ。セクゾの皆さんのご尊顔とは雰囲気違うかもだけど、キャンメイク的なピンクのパッケージのプチプラコスメが想像される。大量に買って配りたい。コスメでなくとも、ランジェリー*2とか薬系とかでもイケそう。

特に私、勝利くんて男の子のイデアだと思っている(た)のだけれど、歌い出しの勝利くんパートが、倒錯的というのでもなくて、凄い自然に女の子なのが少し驚いたと同時に凄く好き。間に高めのマリウスパート「♪キミにね 振り向いて欲しいから」ていう、普通にありそうな歌割があるだけに。そもそもSexy GirlsとSexy Zoneの差分について、聡マリは女装してるだけで普通に聡ちゃんでマリウスで、ふまけんは比較的女子ドル人格の分離の度合いが高いのだけれど、勝利くんは「ダニー」という役柄を挟んでいるために凄く曖昧な存在になっている(のが味わい深い)、と感じていて、なんかいつも少し驚いてから、好きだな……と思うんですよね。外見に反して中身は等身大のちょっと不器用な男の子、て思わせておいて、ちらっとミステリアスさが覗く感じというか、全然女の子も憑依するよねっていう。

話を戻すと、男性ボーカルの歌う女性詞で、「女の子である自分」をディティールまで徹底するのは、例えばジャニーズ内でもセクゾ以外無理なのでは、と思う。大抵女性詞になるのって相手を想う気持ち100%のラブソングであり、それは恋愛が極まったところで抱く感情は(男女の別なく)互いに理解可能なものだからで、生活に関わるワードを歌って滑稽にならないのって難しい。凄いことなのだけれど、普通に春たのし~い!気分になるので良い楽曲です。

 

次、「プンププンプン」!ボーカルも音楽もプンププンプン言ってるめちゃめちゃポップ可愛い楽曲なのだけれど、歌詞がちゃんとSexy時代では!?と思うと本当に最高。てか作詞、三浦徳子さん*3なので、それは間違いがないわ……なのです。

「♪お互いを 知りたいと 思うことから 始めようよ」「♪なんでも言いなよ 言いたいこと」「♪分からないから Let's talk」など、互いを分かり合う努力をしたい、という内容が続いていて、普通に可愛い感じの恋の始まりかと思いきや、大サビで広がりがある。また引用する。

自分を超えてく 何かに出会いたい

Say what you want, Say what you like.

You say! プンププンプン ププン

もうすぐ目覚める 時が来るだろう

Say what you want, Say what you like.

We go! プンププンプン ププン

 

愛し合う 時が来たならば

目には見えない 何かが 見える

We go! プンププンプン ププン

それまで「僕」と「君」の関係を歌っていたのに、大サビでは2ワードが入らないというか、普遍的な話に発展している感じがあるのだ。この歌の語り手は、目の前の「君」より、この世界のどこかにきっと存在しているらしい「自分を超えてく何か」「目には見えない何か」に焦点が合っているんでないだろうか。

実は1番サビに「♪こんな時代に生まれた僕たちは 幸せ? それとも?」、2番サビに「♪自分のことより 大事な誰かに会いたい」ともあり、徹底的に二人の関係性を考えているタイプのラブソングと異なる種類の楽曲であることには、この辺りが伏線として効いているように思う。

多分語り手は、「こんな時代」で世間が言うほど不幸せでも幸せでもないっていうか、そんなどうにもならないことは放っておいて、とにかくこれから何かが起きること、変化を期待している気持ちがあり、それは愛的なものによってもたらされると信じているのだ。「愛し合う時」=「目覚める時」であり、「大事な誰か」に出会って「何か」が分かったら世界が変わるという物語。つまり、語り手にとって「君」はまだ真に「大事な誰か」なのか分からなくて、でもそんな気がする、それには「君」とトークしてちゃんと向き合わなければいけない、何だかその先に「何か」が見える気がするんだ今度は、ていうことなのでは。目の前の「君」に、抽象的な「大事な誰か」が重なり合っている。自分本位と感じられなくもないが、アイドルが歌う楽曲としては非常によくできているように思う。と、言うより、実際の特定の誰かに歌うには向かない。

また、勿論「何か」は「真実の愛」と呼ばれるようなものなのだろうけれど、ここでは「Sexy」と考えるのも良い気がする。

(この用語は確固たる定義をするべきではないだろうが、)結成当初の「常に全力でやることがSexy」という発言があるけれども*4、私はあながち間違っていないというか、ケンティーの「Sexy=natural」(=pure=happy)発言*5に従い、そして短いながらセクゾを応援する中で、自然体の清らかな心、目の前の人に真摯に接する気持ち、その先にある世界平和的なマインド(が魅力になるということ)を「Sexy」は包含しているのではないかと解釈するに至った。恋愛と博愛の中間というか、見ようによってはどちらでもある形の「愛」。本楽曲で歌われているのは、「君」への恋愛感情であると同時に、互いを分かり合う努力をした先に待つ新世界であり、そのようなSexy的「愛」であるのではないだろうか。「目覚める時」=「愛し合う時」=Sexy時代の到来。名曲か。

後述するが、今回のアルバムは全体に、(初期曲的なキラキラ王道系の)アイドルらしさが、凝った音楽と融合、アップデートされている(目指されている)。実際その感じがしてめちゃくちゃ良いな~~~と思ったが、本楽曲は正にそれ。勝利くんは「楽曲はオシャレで大人っぽいんですよ」と言い*6、風磨くんは「「スキすぎて」とか「Hey you!」みたいなキャッチ―な曲」とおそらく本楽曲のことも含んで言う*7、ていう……。一見電波ソングに聴こえるが、曲調のポップさだけでなく歌詞の面でも、これまでの活動を踏まえた形でアイドルらしさが発揮されているのが興奮した。

 

あと「Pheromone」……ッ!こちらイントロだけで大勝利曲ですね。古い映画のような、地下のバーに入るときに流れそうな音楽と、ひび割れるように加工されたマリウスの「So keep it on!」的な音声(正解は分からない)で、おっ小洒落た大人っぽい楽曲だ~~~ライブではステッキかな、シルクハットかな、と思わせておいて、からの勝利パート「だから……君の心に豪速球!」がマジで豪速球な一曲。以下メロディーは軽妙なまま、ひたすらだってモテたい!という内容が続いている。

初聴で一番ウワッ好きてなったのはこれだった。(何となく思い浮かんだのは「マトリョシカ」。これは、中高生時代アニソンとボカロしか聴いてなかった私の過去の音楽体験から無理矢理似た曲調の楽曲を挙げるとしたら、という話なので、別に全然似ていない気もするのだが、慣用的な言い回しの応酬とか「だ↑って モ↑テ た↑いじゃない」の感じとか。)

好きな種類の音楽だ~~~と思いながら聴いていると、サビ終わりに最高のフレーズがやってくる。「♪舞い上がれフェロモン日本の空へ」

さらっと歌ってるけど「日本の空」て何、大きく出るな、ていうところが凄く好きです!元々アイドルが謎の説得力で日本を代表してくる楽曲(モーニング娘。LOVEマシーン」とかSMAPDear WOMAN」とか)が超好きというのがあって、これはナショナリズム的で危険でもあるなと分かっているんですけど、単純に景気が良くてアガってしまう。景気さえ良けりゃハッピー!である程度成立してしまうというのはどこの国でもままあることだと思うんですけど、まあ悪く言えば平和ボケ的な、日本の悪いところでもあり、でもちょっと好きなところでもあるな……て感じ。で、誰にでも歌えるものではないと思うので、いよっ24時間テレビメインパーソナリティ!て感じでテンション上がりました。

大サビでは「♪舞い上がれフェロモン世界の空へ」に発展し、ラストは「♪舞い落ちろフェロモン貴方のハートへ」で完璧な〆。

 

最終トラック「最後の笑顔」についても。曲調の明るさに騙されそうになるんですが、分類するなら失恋ソング。これで終わるのは結構チャレンジングでない?という疑問があるんですがどうなんだろう。

個人的には「アイドルに失恋される」楽曲は結構好きで、と言うのもアイドルの失恋は特定の恋人を作らない、しばしば理想とされるアイドル像の入り口だと思うからなんですよね(凄く残酷なことを言っている自覚はある)。もっと言うと、アイドルを応援するときって、自分は「ファン」という大衆の中の一人である(いたい)という考えと、(恋人という)特別な関係を私だけと結んでほしいという欲望のグラデーションだと思うんですが、「アイドルに失恋される」という状況はどちらも満たしてくれる。「失恋の相手」という特別な存在になることもできるし、結果として今アイドルを引き受けているアイドルに感謝のような気持ちを抱く一ファンの立場で俯瞰することもできる。例えば少年隊「星屑のスパンコール」とか。

加えて、実際にアイドルはしばしば、自分たちに夢中になっているばかりではなくて、それぞれの人生を歩んでほしい、というようなことを言うじゃないですか。実際ファンからの依存が重いということも勿論あるだろうし、例えばケンティーは「以前はファンに対して恋人のように接するべきだと考えていたが、今はファンそれぞれの人生を応援したいと思っている」*8てまるで向こうが失恋したみたいな言い方をしてくれるわけですよね。

などと思うと、最終トラックに「♪無理して笑って歩き出すよ 笑顔が素敵って言ってくれた 君が嘘つきにならないようにね」はアイドルとして凄く優しい且つ誠実なのでは……という気がしてくる。

 

名盤て書いた割に全体の話をしていないのでざっとしておきたい。

忘れられない花~PEACH!~RTTがこう繋がるか……!ていうのは1曲ずつ聴いてたら分からなかったなと思って、特に「忘れられない花」がちゃんと好きライン上にあったのがかなり嬉しかった。オシャレで大人っぽい新しい感じ、と言われるとどうしても身構えてしまうところがあるので……少しのポップ心が大好きなので……。

からの「Birthday for you」はこう、国を治める気になったか……という感じ!信仰において、時間感覚を支配することは非常に重要だと聞いたことがあるんですが(毎週何曜日に礼拝とか、何歳でこの行事を行うとか)、これから先セクガルは「Birthday for you」で誕生日を祝うてことでしょ。現状NEWSにも「Happy Birthday」という楽曲があるので、私はジャニヲタ同士だったらこちらで誕生日を祝い合ったりするのだけれど、おそらく99%以上の日本人は「Happy Birthday to you~~~」だろうことを考えるとやばい。6年目を感じる。

ラブマジ~Ignition Countdown~フィルター越しに見た空の青は、それぞれにある種J-Popの王道というか、(私の感覚で言うとそれぞれ近い感じのアニソンが具体的に挙げられる、)ある種の典型だと思うのだけれど、終盤にこう3曲固まっていると安心感が凄い。特に「Ignition Countdown」、ちょいダークな群像劇要素のある世界の闇を暴く系少し前の中高生にウケそうアニメのオープニングにありそうでめちゃくちゃテンション上がる。そしてこの曲が聡ちゃんの歌割から始まるの最高過ぎる。(ちなみに「ラブマジ」は女性向け作品のエンディングにありそうなやつで、「フィルター越し~」はエンディングでも良いんだけど、声優さんとか所謂アニソンアーティストのCDに必ず入っているやつのイメージがある……。)(凄く古いわけではないんだろうけど、)ある程度の懐かしさ・ベタさのあるこれらの楽曲と、「忘れられない花」に代表される最新な感じの楽曲が同じアルバムに入っていて、自然に接続されているのが、昨年のコンサートを構成した風磨くんが「キラキラ王道アイドルができるっていうことは、すごい武器なんだって分かってきた」と発言していたりした*9ことが更に進んできたなという感じ。聴く前に抱いていたイメージに結構裏切られたところがあって良いです。

 

そう、公式HPを確認してみても、「“新たなスタート”、“更なる挑戦”をテーマに掲げた」というだけでなく、その前に「今までのSexy Zoneに新たな色を塗り足していく」と付いているんですね。後出し的に言うと、このことは各誌できちんと補足されてもいる。

――最新アルバム「XYZ=repainting」は、今までにない挑戦と新しさが詰まった1枚ですね。

佐藤 メインテーマは“スタイリッシュ!”[略]

――リード曲「忘れられない花」をはじめ、確かに大人っぽい楽曲が多いのも今作の特徴ですよね。

マリウス 「忘れられない花」は、Sexy Zoneにまた新たな色がついた気がしてうれしい!

松島 ジャジーな曲や、EDMっぽいダンスチューンも入ってるし。でも大人っぽいだけじゃなくて、今までの僕たちらしいアイドルソングも楽しんでもらえると思う。 

菊池 全部をガラリと変えたわけではなくて、「スキすぎて」とか「Hey you!」みたいなキャッチ―な曲もちゃんと青年っぽさを掛け合わせながら作ってるからね。

中島 だからこそ“repainting”なんだよね。完全に塗りつぶすわけじゃなく、今まで作り上げた部分に新たな色を塗り足すっていう。

佐藤 その気持ちは、最初から5人一致してたよね。

(QLAP! 2018年3月号p51)

 

――[略]“repainting”というのは…?

佐藤「装いも新たにリスタートするのではなく、これまで描いてきたものに新たな色を塗り重ねていく…という意味で、“repainting”というワードをつけたんです」

中島「これが決まったのは、確かアルバムのビジュアル撮影をした日だったね」

松島「油絵とか、色を足していくとカンバスに厚みが増していくじゃないですか。僕はそうイメージしました」

マリウス「最初はrepaintやrepaintedで考えたけど、塗り足し続けることが大事だなって」

――最初にアルバムを聴いた時は“攻めてる!”と思いました。それでいて、これだけ曲数があるのに、とても統一感があるなと。

佐藤「新しいものを打ち出したいという気持ちは強かったですが、全体のカラーをひとつにするということも意識したので、そう感じてもらえたのは嬉しいですね」

(Songs 2018年3月号p10)

初見のショッキングさと、しっかり中身を聴いたときの新旧の融合っぷりがめちゃくちゃ楽しい。これからどういう方向に進んでいくかは分からないけれども、年齢だったりのSexy Zoneを特徴付けてきた要素が次第に薄まってきているタイミングで、例えば他のジャニーズグループの楽曲と横に並べたときに語られるような、「唯一無二のオリジナリティ」が確かに提示されているのが分かる。きっと後から一つの転換点だったと振り返ることになるのだろう、そんな感じの一枚でしたね……!

 

取り急ぎ書きたい4曲に注力してばらばらと書いたけど、 通常盤のみ収録曲については後日追記するかも。

*1:ちなみにケンティーも「化粧品のCMに似合いそう。」と言及している。(Songs 2018年3月号p2)

*2:ちなみに実際、NEWS「シリウス」はWingのタイアップ曲である。

*3:他提供曲に「Sexy Summerに雪が降る」「今日はありがとう」「ぶつかっちゃうよ」「King&Queen&Joker」「男 never give up」「Hey you!」「Make my day」

*4:ぱっと出てくるのはビストロSMAP出演時の勝利くんだけど、他にもあるかも知れない……。

*5:Sexy ZoneのQrzone 2017年6月12日放送分(この週はケンティーが4夜連続でSexy時代について語っている)

*6:Songs 2018年3月号p4

*7:QLAP! 2018年3月号p51

*8:Myojo 2018年3月号の高橋海人くんとの対談だったと思うのだけれど、部屋から全然見つからないのでとりあえずニュアンス

*9:Sexy Zone presents Sexy Tour 2017 ~ STAGE パンフレットより