アイドルのいない月曜日

入信しました。

想起とD code

アイドルタイムプリパラ」が終わった。

4月からは「キラっとプリ☆チャン」という新シリーズが始まり、筐体も一新される。プリチャンは「プリチューバ―」の物語らしく、推しがユーチューバー業を始めたジャニヲタとしてはタイミング良過ぎなのだが、それは来週以降触れたいと思う。今回はプリパラ最終盤についてポエムを詠む。以下、ドレシ推し且つNEWS担で、どちらもど新規の人間の文章であることにご留意ください。

 

 

第49話を見てから2週間、私はドレッシングパフェに、プリパラに、はまるべくしてはまったのだということが分かってしまった。

Dressing Paféは「プリパラ」で、主人公チーム・SoLaMi♡SMILEのライバルとして結成され、神アイドルの座を最後まで争って、敗れた。そらみが神アイドルに就任したことで物語は一段落、今年度の「アイドルタイムプリパラ」ではそらみを始めとする「プリパラ」のメインキャラクターたちはサポート役に徹し、今度は新設のパパラ宿のプリパラ出身チーム・MY☆DREAMが、夢を持つことの素晴らしさを広めている。のだが、ドレシの物語もしっかりと描かれ続けていたのだ(第49話まで気付いていなかったんだけど!)。

敗れた人間が、そのあとどうやって生きていくのかということが、描かれ続けていた。

 

「プリパラ」最終話、シオンは武者修行の旅に出ると言って、ドロシー&レオナを置いて失踪してしまう。「アイドルタイム」序盤、シオンは虚無僧の格好で登場し、あらゆる勝負事に挑み、前人未到の地を目指し、己を試そうとする。ドロシー&レオナもそんなシオンを探すため、にんじゃもんじゃの屋台を引きながら、各地を巡っている。

3人が再びチームとして活動するようになるのは、第28話「いっちば~んがやってきた!」で、シオンがみあを探し当てたあとのことになる。みあは、前身シリーズの主人公であり、伝説の神アイドル・SAINTSのメンバーという設定で、常にシオンに先んじて「いっちば~ん」を奪っていく人物として登場する。武者修行の旅の先々でみあのサインを目にしたシオンは、みあ探しにシフトし、遂に会うに至ったのがこの話というわけだ。シオンはみあに勝負(じゃんけん)を挑むが、みあの勝負を超越した振る舞いに感服し、清々しい顔で完敗だと言う。

このときシオンは「初志貫徹、剛毅果断」とみあを評するのだが、これは言うなれば、目の前の誰かとの勝負に勝利することではなく、自分の夢を真っすぐ目指せ、という学びだったのではないだろうか。第28話以降、むしろシオンの振る舞いが、「初志貫徹、剛毅果断」を体現しているように感じられた。2つの四字熟語は、図らずもドレッシングパフェのアイデンティティと関係するキーワードであっただろうし、プリパラ最終盤でドレシが登場したことにも繋がってくるのではないか?

正確には、おそらくシオンは旅を通じてこのことに気が付きつつあったのだと思う。第19話「旅立てアイドル!レッツ・イゴー!」で、3人が旅先のペンダイ(仙台)のプリパラで偶然再会したときのライブを見てほしい。ペンダイのプリパラは2つの派閥に割れており、両陣営が助っ人としてそれぞれシオン、ドロシー&レオナを招聘した、という状況。シオンとドロシーは、再会を喜びつつも、それぞれの陣営に対する恩義もあるので譲ろうせず、口論になってしまう。しかし、互いを思うがゆえなのだとレオナが間を取り持ち、シオンが境界線を越えて歩み寄って、久々のチームライブが行われる。このあとシオンはみあを探しにまた旅立ってしまうのだが、勝負の世界で生きてきたシオンが、自ら勝負を止めるというのは、よっぽどのことである。ドレッシングパフェというチームのためなら、チームで神アイドルになるという夢のためなら、シオンはあっさり自分の勝負を置いておくのだ。カッコよ過ぎる。

このとき歌われたのが最初のオリジナル曲「No D&D code」であったのは、第49話への流れを考えるとめちゃくちゃ意味があったように思う。この楽曲は、それぞれの理由でそらみに対抗心を燃やすドレシが、「♪Dress codeを破るよ」「♪やるなら貫き通さなきゃ」「♪夢まで一直線」と力強く所信表明する歌だ。しかも、復興中のパラ宿のプリパラの、瓦礫の下から出てきたモニターから、ドレシのライブ映像が流れてくるのだわ……。今正に再び走り出そうとしているドレシの状況にぴったり重なっているし、「初志貫徹、剛毅果断」を先取りするような演出だったと言えるだろう。

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もう一つ確認しておきたいのが、第43話「燃えよにの」である。シオンに悉く負かされたことで「先輩」と慕うようになった、スポーツ少女・にのが、「壁を超える」ためにシオンに勝負を挑む回だ。第28話でシオンは、シオン先輩を超えることが夢だと話すにのに対して、「そんな小さな夢で良いのか」と言っている。しかし、にのはその後、「ヒーローアイドルになる」という夢を取り戻しており、第43話では「考えるより先に体が動く」というヒーローアイドルとしての在り方で、シオンに勝利することになる。

この勝負で、シオンは結構あっさり負ける。シオンは「いかなる状況でも、誰が相手でも、絶対に勝つ」と豪語し*1、実際そのようなキャラクターとして描写されてきた。そもそも囲碁の元学生世界チャンピオンとして負けなしだったシオンが、現状に満足せず、新たなバトルフィールドとしてプリパラを選び、神アイドルという頂点を目指しているのである。2ndシーズン第62話「シオンVSひびき」でも、自らの更なる可能性を追求するためと「原点回帰、初志貫徹」を掲げ、ソロ曲「絶対生命final show女」で「♪思い出せ 揺り起こせ あの日見た衝動の正体 目指す夢 順風満帆なここ抜け出し 疾風怒濤の真ん中見据え」「♪なにも否定はしない ただし満足もしない」と歌っている。だから、基本的に勝ち続けてきた人間が、更なる頂を目指して敢えて茨の道を行こうとする、のがシオンなのであり、個人的には、にのがシオンに勝つのは良いとしても、シオンがにのに負けるのは少し驚いた。

しかし、勝負を超越したシオンはもはや負けには揺るがない、と示すことでもあるのだとしたらどうか。だからってにのに負けるか?というのは微妙なところではあるが、この先シオンは、誰にどれだけ負けたとしたって、「神アイドルになる」という夢に真っ直ぐ進んでいき、やがて勝負を超越した境地に至るに違いない。それが見えたからこそ、「シオンが負ける」という描写が可能になったのではないだろうか。

第24話「勝負っす!シオン先輩!」で初披露されたシオンとにののデュエット曲「快打洗心♡カッキンBUDDY」には、アニメ本編では使用されていないが、「♪どんな勝負結果より 大切なことがある気がするんだ」というパートがある。それはにのに贈られた「疾風勁草」という四字熟語であるだろうし、しかし「最強」を目指し勝負の世界で生きていこうとする2人の強さは、めちゃくちゃ爽快だった。

 

そして、第49話「誕生しちゃうぜ!神アイドル!?」である。

夢を食べてしまう獣・パックの暴走によって、眠ってしまったらぁらを起こさなければならない、それには神アイドル級のチームライブが必要、という局面。神アイドルに匹敵する力を持つ「GODアイドル」の称号のため、ドレシが認定ライブに挑戦する回だ。ここに来てドレシ回があると思っていなかったので、次回予告の時点で動揺し、第49話で3人の声でタイトルコールされたところからもうだめだった。更にまさかの新曲「Get Over Dress-code」が来るなんて。

「Get Over Dress-code」は、線路をモチーフにしたセットで歌唱される。衣装はドレシのロゴにも用いられている矢印と、ストライプ(3人のぶれない真っ直ぐな気持ちを表している!)が特徴的な例のチームSCRコーデだ。新年度だから新しいコーデ、時計の針みたいで良いな、と普通に見ていたこのコーデが、まさか「Get Over Dress-code」用だったなんて。確かに3人でこのコーデ着たことなかったけど……!そう、このコーデこそが「初志貫徹、剛毅果断」そのものなのだ。

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以下、第49話で流れた分の歌詞を引用する。*2

真っ直ぐ続くレールはきっと 鉄のように強い固いイシ

猛スピードの Express Heartbeat

常勝無敗ってわけじゃない だけど負けなんて認めない

そのたびに テンションRe-MAX!

定石ってDress codeは とっくに破っちゃった

神がライバルだって 超えちゃえばいい

最強って終着駅(ゴール)に ノンストップ!

これがDressing code

 

Do it now! 出会った日から 

Run for jump! 走ってきたよ

Get over! 1秒イゴの未来へ

Do it now! どんな時間も

Go for it! 勝利って瞬間に

続いているって信じてる

 

Do it now! Get Over Dress-code

Run for jump! 限界も超えちゃう

Change my world! 強くなるって Sence of Wonder

 

Do it now! 出会ったあとも

Run for jump! 走っていくよ

Get over! ずっと遠くの未来へ

Do it now! どんな時間も

Go for it! 勝利って瞬間に

続いているんだ Express Heartbeat

Rock'n Roll Powerで Dressing Perfect

とにかくAメロ……!「♪常勝無敗ってわけじゃない」とシオンが歌うようになったのもまた、そらみに負け一番を逃したというだけでなくて、「アイドルタイム」での武者修行の旅がなければ起きなかったことなのではないだろうか。「♪だけど負けなんて認めない そのたびに テンションRe-MAX!」と続けられるようになったから、勝負を超越した境地を知ったから、「いかなる状況でも、誰が相手でも、絶対に勝つ」自身のキャラ設定と両立させて、敗北を歌うのではないだろうか。

だから、「♪どんな時間も 勝利って瞬間に 続いているって信じてる」の「勝利」はおそらく、神アイドルになること、夢が叶う瞬間のことを指しているのだと思う。自分の夢を真っ直ぐ目指すことで、どんな敗北も力に変えられるし、絶対また勝負の場に立つことができる。人生の希望だ。

「No D&D code」、そして「ラン♪ for ジャンピン!」の引用が多いので、2番では「CHANGE! MY WORLD」ももっとあるんじゃないかと期待しているけれども、しかしドレシらしさって「Dress codeを破る」=ロックなのだ、と改めて示してみせることに、めちゃくちゃ強さを感じた。ドレシは「♪泣きたくなるのはそう 悔しいから その感情はPower」(「No D&D code」)と、ある種の敗北から出発したチームである。敗れた人間がもう一度勝負の場に立つためには、敗北という決まったものを否定する必要があるし、そうしていいんだ、と歌ってきたわけだ。この現状を変革していく力は、「CHANGE! MY WORLD」でもあるし、ガラスを割る演出が共通している「絶対生命final show女」も彷彿とさせる(同様に「Twin mirror♥compact」も変化を恐れないことを歌っていた)。

同時に、この楽曲が第49話でめちゃくちゃ響いたのは、作品のテーマともしっかり呼応していたからだとも思う。つまり逆に、目先の勝負ではなく究極的な夢を思い出して、現状を変革していこうよというメッセージでもあるわけで、凍り付いたパックの時間を再び進める突破口となる役割は適任過ぎる。

パックは、ずっと「ふたりぼっち」で生きてきたガァララが、他に友達を作って社会に出ていくことに耐えられず、「み~んなが幸せなプリパラ」というゆいの夢、「み~んなトモダチ、み~んなアイドル」というプリパラのモットーを否定しようとするキャラクターである。ふたりぼっちに戻ることが夢であると言い、らぁらたちの説得を受け入れられず、自分の時間を止めてしまう。そんなパックに、変革を歌うドレシがぶつかっていき、変化の契機を作る。物理的にも観念的にも、パックのガラスを割ったのだ。

ドレシは「神アイドルになる」という原点を何度も確認してきていて、「Get Over Dress-code」でも、「初志貫徹、剛毅果断」な在り方を理想としている。その影響を一番に受けたにのを始めとする、パパラ宿の女の子たちが「夢を思い出す」ことが「アイドルタイム」の根本的な筋である。パックもまた、自分の夢を見失っている一人であり、続く第50話「夢のツバサで飛べマイドリーム!」でそらみ・ドレシ・マイドリ・しゅうかと総力で歌った「Memorial」*3は、正にこのことを歌ってる。

「Memorial」のサビの歌詞は「♪初めてのドキドキ思い出して 何もかも輝いて無敵にだってなれた」で、「Make it!*4のサビ「♪Make it! ドキドキするとき無敵でしょ」を引いているわけだが、「アイドルタイム」が興味深いのは、ただの自己実現ではなく、失われた夢を取り戻すことが中心にあったことだ。パパラ宿の女の子たちは、幼い頃にパックに夢を食べられてしまい、自分が夢を見たことがあったということすら忘れてしまっている。そこでゆいたちマイドリのライブが、夢を見ることの素晴らしさ、失われた夢を思い出させるのだし、第50話の「Believe My Dream!」「Memorial」ライブが、パックが食べた夢をパパラ宿中に還す。パックに対しても、そふぃ「プリパラが大好きだって思ったこと、パックにだってあるはずよ」レオナ「思い出して、夢を見たこと、あるはずだよ」と呼びかけられる。ガァララは、昔取ってきた夢(ジュエル)を一緒に飾ったことがあったよね、それは夢がとても綺麗だったからだよね、と語りかける。そしてパックは「ガァララが笑っていること」という本当の夢を思い出すのだ。

敗北と、しかし夢を思い出すこと。「アイドルタイム」は夢を見失った女の子たちの物語であり、ゆいたちのライブが届かないほど深く傷つき夢を持てなくなってしまった女の子たちにこそ、ドレシの歌声が響く。プラスを伸ばすだけでなく、マイナスを救済することも必要というか。両者は表裏一体なので、例えばゆいソロ「チクタク・Magicaる・アイドルタイム!」のメイキングドラマにも線路と列車のモチーフがあり、夢へのワクワクを抑えられず真っ直ぐ向かっていきたい気持ちが託されている。

プリパラは基本的に、輝かしいものは自分の中にある、と言う。多分これは、「♪オシャレなあの子マネするより 自分らしさが一番でしょ」(「Make it!」)「♪夢みたいってみんな言うけれど ホントはここも輝くPLACE」(「CHANGE! MY WORLD」)的な、自分を肯定することをプリパラが大切にしているからだと思うのだけれど、夢もまた、自分の中にある。だから「思い出す」のだ。それこそ1stシーズン第25話で、それまでプリパラを規制していた校長先生が、かつてプリパラが大好きだったのだと、だからこそ裏切りが辛かったのだと思い出したように。

プリパラでは昼と夜が混じり合い、夜の寂しさも肯定される。絶対ネガティブに見える要素も否定しない。それは直近だとしゅうかとガァララ、ガァララとパックの関係を丁寧に描いていたことからも分かるし、ガァララソロ「すた~らいとカーニバル☆」や、蛇足になるが第22話、第24話で校長先生に向けてそらみが歌った「HAPPYぱLUCKY」もまたそうである。

後ろ向きな気持ちなんて邪魔だった

でも君はそれも私の欠片だと受け入れた

これから何度も助けてもらいたい

お返しに百回いや無限回助けてあげたい

好きだからこそ嫌いになってしまうし、綺麗だからこそおいしい。

 

きっと、プリパラのどこを好きになったのかと言えば、夢を順調に叶えられた女の子以外をも救おうとしてくれることだったのだと思う。

強いアイドルが全力で活動していて、それでも叶えられなかったことがあるということ、しかし強く進み続けていけるのだということ、私がアイドルに惹かれたのは正にそれを知ったからだった。言うまでもなく、例えばNEWSはめちゃくちゃ顔が良くてそれぞれスキルがあって、その時々でそれぞれの活動を頑張っていたのだと思うし(少なくとも私の経験した努力とか忙しさとか重圧とは桁違いの負荷に耐えてステージに立っていたはずだ)、2009年頃になると大きな仕事も重なり、言わば神アイドルへの道が見えてきていたように思う。しかし順風満帆にはいかず、頂点はその手から滑り落ちていったこと、しかし負けたそのあとも物語は続いていて、形を変えながら、また東京ドームに立ったり24時間テレビのメインパーソナリティを務めたりできることを、今の我々は知っている。

ドレッシングパフェもまた、シオンという天才と、ドロシー&レオナという完璧なシンメを擁する素敵なアイドルでありながら、神アイドルの座に一歩届かなかった。しかし「アイドルタイム」を経て、第49話で遂に、GODアイドルに就任する。

神アイドルグランプリに敗れても、道は終わったわけではなく、信じている限り勝負の場に立つことができるという希望。夢が順調に叶わなくても人間は生きていけるが、それでも夢を目指したいのなら、それはそれでまた何度でも挑戦できるのだと、ドレシは示してくれたように思う。プリパラは結構、うまくいかなかった人間がどうしたら良いのかということを教えてくれるのだが(ガァルルが最も分かりやすい例である)、ドレシの好きポイントはやっぱり「最強」「パーフェクト」を目指していることだ。語弊があるかも知れないが、常に道半ばであることというか、でも私が知っているこの強さを!絶対世界に知ってもらいたい!認めてもらいたい!という気持ちにさせられる。自分自身に対してもそう思えたりする。

だから本当に最高だったのは、最終話でGODアイドルの証であるティアラを返し、(今度は3人で!)また武者修行の旅に出ることなのだ。

 

 

そんなわけで、ドレッシングパフェが、シオンが、ドロシーが、レオナが、プリパラが、めちゃくちゃ好きだな……終わらないで……と寂しい気持ちになる日々だった。

「Memorial」に「♪笑顔でチーズ ピースサイン並べ 刹那の瞬間(とき)を かけがえのない季節(とき)を 永遠に残したい」という歌詞がある。以前「アイドルタイム」は「今を全力で生きる」ことを語っている、と書いた。そして今度は「今」は常に過ぎ去ってしまうものとしてあるけれど、想い出があるから大丈夫だよ、と送り出してくれる*5。多分だけど、この写真を思わせる想い出のイメージは、プリチケに重なるのではないだろうか。プリチケはただのコーデカードではなく、想い出そのものである。友情と努力の堆積。

第49話で、GODアイドル認定ライブに挑戦するドレシは、全てのプリチケを賭けることを要求される。プリチケはドレッシングパフェの道のりそのもの。失敗したら、それが全て失われるだけでなく、今後プリパラに入ることもできなくなってしまうという。しかしドレシは、気にも留めずにライブに入る。それは自信の表れでも勿論あるし、想い出になった「今」の堆積は、今この時のためにあったのだと示すことでもあっただろう。

こんなことを繰り返していたら、ドレシのプリチケは永遠には残らないかも知れないけれど……、例えプリチケの実体が失われるような事態に陥ったとて、確かに胸の中にあって「今」を支えてくれるから、それぞれの道を歩んでいこう。

プリパラ、本当にありがとう。これからもずっと大好き。

*1:アイドルタイムプリパラ」第28話より

*2:細部違っているかもですが、ご容赦ください。確認次第修正します。

*3:アイドルタイムプリパラ」3rdopでもある。

*4:「プリパラ」1stopであり、セインツの代表曲とされている。大事なライブで度々歌われてきた。

*5:「♪ゆめゆめ パステル 時間の宝石箱 カワイイと虹のドキドキ詰め込んで 10年後 30年後 過去になった“イマ”を 笑顔でね、思い出そうよ! 輝いてプリパラ」(「Just be yourself」2番サビ)、「♪これからも どんな未来が来ても 想い出は胸の中 キラキラきらめいているよ いつまでも ずっと プリパラドリーム」(「Memorial」1番サビ)

重く軽く良いくらい

実は木曜日に電車の中で初めてちゃんと聴いたんですけど。けど。「XYZ=repainting」名盤でない?(2月入ってフィギュアにかまけている場合ではマジでない。)

と、いうことで音楽的語彙がマジでない超適当な感想です。

ちなみに事前に聴いたことがあったアルバム曲は「忘れられない花」と「Unreality」で、どちらも淡々としたオシャレ~~~な曲調だったものだから、悪くはないけど舵の切り方が激しい……と戸惑っていた。のだけれど、言ってしまうと私の好き系の楽曲がね、それ以外のトラックにめっちゃ入っていた。超満足!!!とりあえず初回盤B(ごほうびSexyグルメツアー収録)を抑えてあったのだけれど、ユニット曲も気になるので通常盤も必要……。

とにかく、とりあえず聴いてほしい。

XYZ=repainting(通常盤)

XYZ=repainting(通常盤)

 

 

まずPEACH!」ね、いやこれ、Sexy Girls第2弾か、なるほどなるほど……てごく自然に思ってしまったのだけれど、マジで女子ドルコス来ないの?まだツアー始まってないからシュレディンガーのSexy Girls。見たい。絶対見たい。

ちゃんと書くと、女性詞なんですね。ざっくり「キミ」との新しい恋にわくわくスキップ!オシャレして出かけよ!て感じで、コスメのCMタイアップ来てないのが完全におかしい。*1「メイク」「チーク」「ネイル」「ベビーピンクのルージュ」と、男性アイドルが歌うにしては珍しいほど散りばめられたワード。大サビを引用しておく。

ベビーピンクのルージュ 塗ったなら PEACH!

素直な気持ちで

このドアの向こうにキミがいる ほら

踏み出せ!

新しい恋に会いに行こう PEACH!

音がする方へ

この先の先もキミといるような

気がしているんだ

キミのいる方へ

ほら桃のようにフレッシュで柔らかくて春っぽいチーク・ネイル・ルージュ売る気しか感じられないでしょ、なぜ店頭に並んでいないのだ。セクゾの皆さんのご尊顔とは雰囲気違うかもだけど、キャンメイク的なピンクのパッケージのプチプラコスメが想像される。大量に買って配りたい。コスメでなくとも、ランジェリー*2とか薬系とかでもイケそう。

特に私、勝利くんて男の子のイデアだと思っている(た)のだけれど、歌い出しの勝利くんパートが、倒錯的というのでもなくて、凄い自然に女の子なのが少し驚いたと同時に凄く好き。間に高めのマリウスパート「♪キミにね 振り向いて欲しいから」ていう、普通にありそうな歌割があるだけに。そもそもSexy GirlsとSexy Zoneの差分について、聡マリは女装してるだけで普通に聡ちゃんでマリウスで、ふまけんは比較的女子ドル人格の分離の度合いが高いのだけれど、勝利くんは「ダニー」という役柄を挟んでいるために凄く曖昧な存在になっている(のが味わい深い)、と感じていて、なんかいつも少し驚いてから、好きだな……と思うんですよね。外見に反して中身は等身大のちょっと不器用な男の子、て思わせておいて、ちらっとミステリアスさが覗く感じというか、全然女の子も憑依するよねっていう。

話を戻すと、男性ボーカルの歌う女性詞で、「女の子である自分」をディティールまで徹底するのは、例えばジャニーズ内でもセクゾ以外無理なのでは、と思う。大抵女性詞になるのって相手を想う気持ち100%のラブソングであり、それは恋愛が極まったところで抱く感情は(男女の別なく)互いに理解可能なものだからで、生活に関わるワードを歌って滑稽にならないのって難しい。凄いことなのだけれど、普通に春たのし~い!気分になるので良い楽曲です。

 

次、「プンププンプン」!ボーカルも音楽もプンププンプン言ってるめちゃめちゃポップ可愛い楽曲なのだけれど、歌詞がちゃんとSexy時代では!?と思うと本当に最高。てか作詞、三浦徳子さん*3なので、それは間違いがないわ……なのです。

「♪お互いを 知りたいと 思うことから 始めようよ」「♪なんでも言いなよ 言いたいこと」「♪分からないから Let's talk」など、互いを分かり合う努力をしたい、という内容が続いていて、普通に可愛い感じの恋の始まりかと思いきや、大サビで広がりがある。また引用する。

自分を超えてく 何かに出会いたい

Say what you want, Say what you like.

You say! プンププンプン ププン

もうすぐ目覚める 時が来るだろう

Say what you want, Say what you like.

We go! プンププンプン ププン

 

愛し合う 時が来たならば

目には見えない 何かが 見える

We go! プンププンプン ププン

それまで「僕」と「君」の関係を歌っていたのに、大サビでは2ワードが入らないというか、普遍的な話に発展している感じがあるのだ。この歌の語り手は、目の前の「君」より、この世界のどこかにきっと存在しているらしい「自分を超えてく何か」「目には見えない何か」に焦点が合っているんでないだろうか。

実は1番サビに「♪こんな時代に生まれた僕たちは 幸せ? それとも?」、2番サビに「♪自分のことより 大事な誰かに会いたい」ともあり、徹底的に二人の関係性を考えているタイプのラブソングと異なる種類の楽曲であることには、この辺りが伏線として効いているように思う。

多分語り手は、「こんな時代」で世間が言うほど不幸せでも幸せでもないっていうか、そんなどうにもならないことは放っておいて、とにかくこれから何かが起きること、変化を期待している気持ちがあり、それは愛的なものによってもたらされると信じているのだ。「愛し合う時」=「目覚める時」であり、「大事な誰か」に出会って「何か」が分かったら世界が変わるという物語。つまり、語り手にとって「君」はまだ真に「大事な誰か」なのか分からなくて、でもそんな気がする、それには「君」とトークしてちゃんと向き合わなければいけない、何だかその先に「何か」が見える気がするんだ今度は、ていうことなのでは。目の前の「君」に、抽象的な「大事な誰か」が重なり合っている。自分本位と感じられなくもないが、アイドルが歌う楽曲としては非常によくできているように思う。と、言うより、実際の特定の誰かに歌うには向かない。

また、勿論「何か」は「真実の愛」と呼ばれるようなものなのだろうけれど、ここでは「Sexy」と考えるのも良い気がする。

(この用語は確固たる定義をするべきではないだろうが、)結成当初の「常に全力でやることがSexy」という発言があるけれども*4、私はあながち間違っていないというか、ケンティーの「Sexy=natural」(=pure=happy)発言*5に従い、そして短いながらセクゾを応援する中で、自然体の清らかな心、目の前の人に真摯に接する気持ち、その先にある世界平和的なマインド(が魅力になるということ)を「Sexy」は包含しているのではないかと解釈するに至った。恋愛と博愛の中間というか、見ようによってはどちらでもある形の「愛」。本楽曲で歌われているのは、「君」への恋愛感情であると同時に、互いを分かり合う努力をした先に待つ新世界であり、そのようなSexy的「愛」であるのではないだろうか。「目覚める時」=「愛し合う時」=Sexy時代の到来。名曲か。

後述するが、今回のアルバムは全体に、(初期曲的なキラキラ王道系の)アイドルらしさが、凝った音楽と融合、アップデートされている(目指されている)。実際その感じがしてめちゃくちゃ良いな~~~と思ったが、本楽曲は正にそれ。勝利くんは「楽曲はオシャレで大人っぽいんですよ」と言い*6、風磨くんは「「スキすぎて」とか「Hey you!」みたいなキャッチ―な曲」とおそらく本楽曲のことも含んで言う*7、ていう……。一見電波ソングに聴こえるが、曲調のポップさだけでなく歌詞の面でも、これまでの活動を踏まえた形でアイドルらしさが発揮されているのが興奮した。

 

あと「Pheromone」……ッ!こちらイントロだけで大勝利曲ですね。古い映画のような、地下のバーに入るときに流れそうな音楽と、ひび割れるように加工されたマリウスの「So keep it on!」的な音声(正解は分からない)で、おっ小洒落た大人っぽい楽曲だ~~~ライブではステッキかな、シルクハットかな、と思わせておいて、からの勝利パート「だから……君の心に豪速球!」がマジで豪速球な一曲。以下メロディーは軽妙なまま、ひたすらだってモテたい!という内容が続いている。

初聴で一番ウワッ好きてなったのはこれだった。(何となく思い浮かんだのは「マトリョシカ」。これは、中高生時代アニソンとボカロしか聴いてなかった私の過去の音楽体験から無理矢理似た曲調の楽曲を挙げるとしたら、という話なので、別に全然似ていない気もするのだが、慣用的な言い回しの応酬とか「だ↑って モ↑テ た↑いじゃない」の感じとか。)

好きな種類の音楽だ~~~と思いながら聴いていると、サビ終わりに最高のフレーズがやってくる。「♪舞い上がれフェロモン日本の空へ」

さらっと歌ってるけど「日本の空」て何、大きく出るな、ていうところが凄く好きです!元々アイドルが謎の説得力で日本を代表してくる楽曲(モーニング娘。LOVEマシーン」とかSMAPDear WOMAN」とか)が超好きというのがあって、これはナショナリズム的で危険でもあるなと分かっているんですけど、単純に景気が良くてアガってしまう。景気さえ良けりゃハッピー!である程度成立してしまうというのはどこの国でもままあることだと思うんですけど、まあ悪く言えば平和ボケ的な、日本の悪いところでもあり、でもちょっと好きなところでもあるな……て感じ。で、誰にでも歌えるものではないと思うので、いよっ24時間テレビメインパーソナリティ!て感じでテンション上がりました。

大サビでは「♪舞い上がれフェロモン世界の空へ」に発展し、ラストは「♪舞い落ちろフェロモン貴方のハートへ」で完璧な〆。

 

最終トラック「最後の笑顔」についても。曲調の明るさに騙されそうになるんですが、分類するなら失恋ソング。これで終わるのは結構チャレンジングでない?という疑問があるんですがどうなんだろう。

個人的には「アイドルに失恋される」楽曲は結構好きで、と言うのもアイドルの失恋は特定の恋人を作らない、しばしば理想とされるアイドル像の入り口だと思うからなんですよね(凄く残酷なことを言っている自覚はある)。もっと言うと、アイドルを応援するときって、自分は「ファン」という大衆の中の一人である(いたい)という考えと、(恋人という)特別な関係を私だけと結んでほしいという欲望のグラデーションだと思うんですが、「アイドルに失恋される」という状況はどちらも満たしてくれる。「失恋の相手」という特別な存在になることもできるし、結果として今アイドルを引き受けているアイドルに感謝のような気持ちを抱く一ファンの立場で俯瞰することもできる。例えば少年隊「星屑のスパンコール」とか。

加えて、実際にアイドルはしばしば、自分たちに夢中になっているばかりではなくて、それぞれの人生を歩んでほしい、というようなことを言うじゃないですか。実際ファンからの依存が重いということも勿論あるだろうし、例えばケンティーは「以前はファンに対して恋人のように接するべきだと考えていたが、今はファンそれぞれの人生を応援したいと思っている」*8てまるで向こうが失恋したみたいな言い方をしてくれるわけですよね。

などと思うと、最終トラックに「♪無理して笑って歩き出すよ 笑顔が素敵って言ってくれた 君が嘘つきにならないようにね」はアイドルとして凄く優しい且つ誠実なのでは……という気がしてくる。

 

名盤て書いた割に全体の話をしていないのでざっとしておきたい。

忘れられない花~PEACH!~RTTがこう繋がるか……!ていうのは1曲ずつ聴いてたら分からなかったなと思って、特に「忘れられない花」がちゃんと好きライン上にあったのがかなり嬉しかった。オシャレで大人っぽい新しい感じ、と言われるとどうしても身構えてしまうところがあるので……少しのポップ心が大好きなので……。

からの「Birthday for you」はこう、国を治める気になったか……という感じ!信仰において、時間感覚を支配することは非常に重要だと聞いたことがあるんですが(毎週何曜日に礼拝とか、何歳でこの行事を行うとか)、これから先セクガルは「Birthday for you」で誕生日を祝うてことでしょ。現状NEWSにも「Happy Birthday」という楽曲があるので、私はジャニヲタ同士だったらこちらで誕生日を祝い合ったりするのだけれど、おそらく99%以上の日本人は「Happy Birthday to you~~~」だろうことを考えるとやばい。6年目を感じる。

ラブマジ~Ignition Countdown~フィルター越しに見た空の青は、それぞれにある種J-Popの王道というか、(私の感覚で言うとそれぞれ近い感じのアニソンが具体的に挙げられる、)ある種の典型だと思うのだけれど、終盤にこう3曲固まっていると安心感が凄い。特に「Ignition Countdown」、ちょいダークな群像劇要素のある世界の闇を暴く系少し前の中高生にウケそうアニメのオープニングにありそうでめちゃくちゃテンション上がる。そしてこの曲が聡ちゃんの歌割から始まるの最高過ぎる。(ちなみに「ラブマジ」は女性向け作品のエンディングにありそうなやつで、「フィルター越し~」はエンディングでも良いんだけど、声優さんとか所謂アニソンアーティストのCDに必ず入っているやつのイメージがある……。)(凄く古いわけではないんだろうけど、)ある程度の懐かしさ・ベタさのあるこれらの楽曲と、「忘れられない花」に代表される最新な感じの楽曲が同じアルバムに入っていて、自然に接続されているのが、昨年のコンサートを構成した風磨くんが「キラキラ王道アイドルができるっていうことは、すごい武器なんだって分かってきた」と発言していたりした*9ことが更に進んできたなという感じ。聴く前に抱いていたイメージに結構裏切られたところがあって良いです。

 

そう、公式HPを確認してみても、「“新たなスタート”、“更なる挑戦”をテーマに掲げた」というだけでなく、その前に「今までのSexy Zoneに新たな色を塗り足していく」と付いているんですね。後出し的に言うと、このことは各誌できちんと補足されてもいる。

――最新アルバム「XYZ=repainting」は、今までにない挑戦と新しさが詰まった1枚ですね。

佐藤 メインテーマは“スタイリッシュ!”[略]

――リード曲「忘れられない花」をはじめ、確かに大人っぽい楽曲が多いのも今作の特徴ですよね。

マリウス 「忘れられない花」は、Sexy Zoneにまた新たな色がついた気がしてうれしい!

松島 ジャジーな曲や、EDMっぽいダンスチューンも入ってるし。でも大人っぽいだけじゃなくて、今までの僕たちらしいアイドルソングも楽しんでもらえると思う。 

菊池 全部をガラリと変えたわけではなくて、「スキすぎて」とか「Hey you!」みたいなキャッチ―な曲もちゃんと青年っぽさを掛け合わせながら作ってるからね。

中島 だからこそ“repainting”なんだよね。完全に塗りつぶすわけじゃなく、今まで作り上げた部分に新たな色を塗り足すっていう。

佐藤 その気持ちは、最初から5人一致してたよね。

(QLAP! 2018年3月号p51)

 

――[略]“repainting”というのは…?

佐藤「装いも新たにリスタートするのではなく、これまで描いてきたものに新たな色を塗り重ねていく…という意味で、“repainting”というワードをつけたんです」

中島「これが決まったのは、確かアルバムのビジュアル撮影をした日だったね」

松島「油絵とか、色を足していくとカンバスに厚みが増していくじゃないですか。僕はそうイメージしました」

マリウス「最初はrepaintやrepaintedで考えたけど、塗り足し続けることが大事だなって」

――最初にアルバムを聴いた時は“攻めてる!”と思いました。それでいて、これだけ曲数があるのに、とても統一感があるなと。

佐藤「新しいものを打ち出したいという気持ちは強かったですが、全体のカラーをひとつにするということも意識したので、そう感じてもらえたのは嬉しいですね」

(Songs 2018年3月号p10)

初見のショッキングさと、しっかり中身を聴いたときの新旧の融合っぷりがめちゃくちゃ楽しい。これからどういう方向に進んでいくかは分からないけれども、年齢だったりのSexy Zoneを特徴付けてきた要素が次第に薄まってきているタイミングで、例えば他のジャニーズグループの楽曲と横に並べたときに語られるような、「唯一無二のオリジナリティ」が確かに提示されているのが分かる。きっと後から一つの転換点だったと振り返ることになるのだろう、そんな感じの一枚でしたね……!

 

取り急ぎ書きたい4曲に注力してばらばらと書いたけど、 通常盤のみ収録曲については後日追記するかも。

*1:ちなみにケンティーも「化粧品のCMに似合いそう。」と言及している。(Songs 2018年3月号p2)

*2:ちなみに実際、NEWS「シリウス」はWingのタイアップ曲である。

*3:他提供曲に「Sexy Summerに雪が降る」「今日はありがとう」「ぶつかっちゃうよ」「King&Queen&Joker」「男 never give up」「Hey you!」「Make my day」

*4:ぱっと出てくるのはビストロSMAP出演時の勝利くんだけど、他にもあるかも知れない……。

*5:Sexy ZoneのQrzone 2017年6月12日放送分(この週はケンティーが4夜連続でSexy時代について語っている)

*6:Songs 2018年3月号p4

*7:QLAP! 2018年3月号p51

*8:Myojo 2018年3月号の高橋海人くんとの対談だったと思うのだけれど、部屋から全然見つからないのでとりあえずニュアンス

*9:Sexy Zone presents Sexy Tour 2017 ~ STAGE パンフレットより

Twin mirrorたたんでも

前記事でプリパラ全般について書いたが、推しについては紙幅が足りなかったので詳しくは触れなかった。今回は改めて推しことドロシー、否、ドロシー&レオナについて書きたい。

また、二人のことを語る上で、外せない楽曲がある。アニメ「プリパラ」第85話よりドロシー&レオナで「Twin mirror♥compact」。このライブを見ると「双子」というある種究極のシンメ形態について思いを馳せたくなってしまう。是非以下BGMにして読んでほしい。

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なお、この文章は根本的に「シンメ尊い」教の人間が書いていることにご留意されたい。

 

ドロシーとレオナは、対称的なキャラクターデザインがなされている。水色/ピンク、前髪左流し/右流し、わがまま/シャイ、「僕」/「私」、そして、女/男。

ドロシーが「ボクっ娘」であることは間違いないが、レオナは所謂「男の娘」に分類されるのかも知れない。しかし私はこの分類は正確でないと思っていて、と言うのも「男の娘」は女装少年を指す用語だが、レオナが「女装」なのか「少年」なのかは極めて曖昧だからだ。レオナはプリパラの外の姿は男の子で、制服も男子用だが(私服はショートパンツなど中性的)、例外的に「プリチケが届いている」。そしてプリパラの中の姿は女の子だ。レオナの「心の性別」については一切描かれていないのでここでも推論しない。だが前記事でも書いた通り、プリパラの外の姿と中の姿はどちらも「私」であり、主従関係にはない。「肉体的には男の子であるキャラが、女の子の格好をしている」とは一概に言えないだろう。

と、いうか私は「女の子であるキャラに、男の子という属性が付け足されている」のではないかと考えている。これはレオナの「心の性別」が女性であって、プリパラの中では本来の自分になれているんだということではない。「レオナ」は事実として「女性アイドル」である。そして「ドロシー&レオナ」は双子姉妹アイドルなのだ。タイトルにも引用したが、「Twin mirror♥ compact」の歌詞には「♪二人はsister」とある。まず女性アイドルとしての「ドロシー&レオナ」があって、シンメである2人の対称的なキャラ付けとして、肉体が女/男、という属性が付け足されたのではないか。

まあ制作陣が違うと言ったら終わりなので、具体的なキャラクターデザインの手順についてはそこまで断言できないが、「アイドルとしてのドロシー&レオナ」を語る余地はあるように思う。つまり、シンメとしてのドロシー&レオナについて。

 

初めに「シンメ」概念を導入しておくが、これはジャニヲタ用語で、「(主としてJr.時代に)シンメトリー位置で踊る特定の二人組」のことを指す。ジャニーズJr.の基本的な仕事である先輩のバックダンサーを務めるにしても、Jr.たちはシンメ単位で仕事を割り振られる。勿論相手が退所してしまったなどの理由で、固定の相手がいない場合も多い。しかしながら、後にユニットに属する際にも活きてきたりするので、単なるJr.の立ち位置と切り捨ててしまうことはできない。入所からデビューを経て20年30年単位で隣にいる、という組もいくつか存在するし、一生もののパートナーになりかねない存在なのである。例を出せばKinKi Kidsは10代前半で出会って以来、Jr.時代からシンメ位置でSMAPらのバックについて、そのままデビューし昨年20周年を迎えたし、そのKinKiのバックとして結成されたKAT-TUNは、シンメ×3で構成されていた。その内の1組が亀梨和也赤西仁であり、二人が単なるシンメ位置のダンサーとして以上に特別な対として世間的にも認知されていたことは確かである。

ジャニーズには星の数ほどシンメがあり、その関係性は簡単に分類できるものではないが、殊思春期のアイドルたちにおいて、①セット売りに嫌気が差す ②いっそシンメを売りにしていく という相反する二つの方向性が存在することは指摘できるだろう。①は自我のある人間としては当然のことで、「嫌気が差す」というのは言い過ぎにしても、プライベートでは別に遊ばないし……くらいのことは言うだろう。しかしながら、アイドルとして人気が欲しいとなったとき、②はかなり有効な手段になってくる。ここでシンメを売りにする、と一口に言ってもやり方は様々で、恋人か?と言わんばかりの仲良しっぷりを見せつけてくる人々もいるが、一つの類型として「運命」がある。曰く、「あいつと俺は正反対」「クラスメイトだったとしても絶対仲良くならなかった」「だけど俺のシンメはあいつしかいない」。顔が似てるだの仕草がシンクロしただのチップ&デールだのと言われて知る、他者性・自我の芽生えを①とするならば、互いが他者であることを前提として、対であることを再構築する行為が②であると言える(仲良し営業だって、初めは他人だったと分かっているからこそするのである)。

通常、「私たちは他者だったのだ」という気付きを得た人間は、互いの道を応援するよ、という別離の方向に進む。二次元作品の双子たちは、大半がこの描かれ方をされてきたと言えるだろう。

例を挙げると、「アイドルマスター」シリーズの双海亜美/真美姉妹は正に「二人で一人」。初期のゲーム内では二人で「双海亜美」というアイドルを共有している設定になっていた。当然声優も同じだし、メンカラも共有。髪型は亜美が右側、真美が左側のサイドポニー。しかし2011年放送のTVアニメ、及び同時期に発売されたゲーム「アイドルマスター2」で、亜美のみが「竜宮小町」というユニットに所属することになる。TVアニメ内では、第6話で亜美が竜宮小町としてデビュー、一足先に人気が出る。必然的に真美は1人仕事、他のアイドルと組んで行う仕事が多くなり、他者となっていく。初めは2人揃ってプロデューサーをからかってくるほとんど見分けのつかない双子だったのが、亜美は天真爛漫、姉である真美は少し背伸びしがち、という違いが見えてくるし、そもそも初期のゲームでは完全に対称だった髪型が、TVアニメ及び「2」では真美のサイドポニーが長めに垂れたデザインに変更されている。また、第9話「ふたりだから出来ること」では他者性を認めて、真美が「真美も超売れっ子になって、亜美と一緒に仕事できるようになる」と言うが、これはシンメ意識=対であることの再構築とは同一視できないだろう。真美はたとえ超売れっ子になったとしても竜宮小町を解体させてまで亜美と組む気はないだろうし、むしろ、別々の道を行ったとしても二人は繋がっているよ、ということを言おうとしていたのではないだろうか。

私自身は双子ではないので当人たちの感覚がどのようなものなのかは憶測でしか語ることができないが、少なくともフィクションにおける外見の似た双子は、相手を「もう一人の自分」と認識し、「私たち」と「それ以外」という感覚を共有する傾向がある。思春期になり世界が広がり、それぞれに相手の知らない大事なものができることで、「二人だけの世界」が崩壊し、自立した人格として社会に出ていくことになる。初めから外見が似ていないとか、男女の組み合わせであるという場合は早い段階から他者性に意識的であるだろう。完全に対称でない、「ズラしたデザイン」(眼鏡の有無、髪型の長短など)もまた潜在的な他者性を視聴者に訴えている。そして少年漫画的な「成長」や、恋愛要素が絡むとなるとほぼ確実に、一度分岐した二人の道は、また同じ道を歩く日が来たとしても、もはや別の道なのである。互いだけで世界が完結しているような、互いを補完し合うような「対」性は失われていく。

しかしながら、アイドルたちは他者である「からこそ」対であろうと振舞う。私はそこに人間存在の希望を見出してしまうのだと思う。自分とは違う、しかし、だからこそ、自分よりも自分を理解してくれる存在。そのような、人間存在に決定的に空いた穴を埋めてくれる運命的な相手を夢見ている。それは人によっては「王子様」などと呼ぶべき理想的な恋愛の相手の形をしているかも知れないし、切磋琢磨し合える永遠のライバルであるかも知れないし、「光と影」的なバディかも知れない。いずれにせよ、私は「シンメ」に「私」と絶対的な他者としての「あなた」を投影している。

 

話をドロシー&レオナに戻そう。最初の双子回は第18話「レオナ、全力ダッシュなの!」。らぁらたちが通う私立パプリカ学園に、ドロシー&レオナが転入してくる回である。冒頭でらぁらに、なぜ男の子なのにいつもは女の子の格好をしているのか*1と訊かれた二人はこう答える。「小さい頃から、ドロシーとお揃いの服を着てたから」「アイドルとしてのキャラ作りだよねー」

レオナの発言を補完すると、「小さい頃から、双子の姉とお揃いの服を着ていたので、現在もプリパラで姉とお揃いの女性アイドルの格好をしている」。これは微妙な言い回しで、つまりレオナにとって「女の子の格好」である以前に「ドロシーとお揃いの格好」である、というのだ。この段階でレオナは、①の手前の状態にある。レオナはいつも、ドロシーのわがままに対して「ドロシーがそう言うなら」と追従することを良しとしてきた。第18話でそのような態度を「優柔不断」とシオンに批判されたレオナは、自分の意見を持つことを覚えていくことになる。①他者性、自我の芽生えだ。

一方実は、ドロシーの発言は②の段階にある。「お揃いの格好をすることは、アイドルとしてのキャラ作り」、即ち彼女は既に自分とレオナが違う人間であることに気付いているからこそ、双子であることを演出しようとするのだ。そこがドロシーを姉らしく見せている要因である。

この話では、相手の意見を受け入れ、尽くす性格が「天性の優しさ」として肯定され、レオナは「皆の楽しい笑顔を見たい」を自分の意見としてメイキングドラマに盛り込んだ。ラストシーンでは「私もこれからは、自分の思いを、皆の思いと同じように大事にしていきます」と言い、ドレッシングパフェの結束も深まる。

2ndシーズンに入ると5人チーム結成を巡ってドラマが生まれていくが、その中で女性でありながら男性として振舞ってきたひびきがレオナに興味を示す。自らの在り方を「あるがままです!」と答えたレオナは(第74話「紫京院ひびきの華麗なる日常」参照)、春のグランプリを控えた第84話ラストシーンでひびきのチームに勧誘されると、ひびきを止めるために加入することを決断する。第85話、ドロシーは「バイバイするためのライブなんてそんなの変だよ~~~」と暴れるが、危機的状況に陥った自分を助けに来たレオナを見て、もうかつてのように守られるだけのレオナではないのだ、「レオナは昔のままじゃなかったんだ。僕はそれに、気付いていなかったんだ」「レオナはもう一人でやっていけるんだね」と別離を受け入れる。そして「レオナがそう言うなら」と冒頭に挙げた「Twin mirror♥compact」でさよならライブをすることになるのだ。

まず1番の歌詞を引用してみよう。

イイコト2倍 ヤなコトはシェアで

we areツインな感じで来たよ

まっくす全力出せる りらっくす優しくなれる

ギュッと抱きしめ合ったら何でもできる

 

ホントはね もうね 気付いてた

違う夢探して…(走り出した)こと

 

Twin mirror♥compact ハートとハートがchu!

少し怖いけどバイバイ(見つめてバイバイ)

Twin mirror覗き込んで 涙の跡拭いて

離れていたって 『LO♥VE』繋がる

互いだけで完結していた世界が徐々に開けて、それぞれの道を進むことになる。だけど繋がっているからお互い頑張ろうね、という前述した割と典型的な双子の物語パターンに一致する。

でもこれじゃなんかね ズルじゃないけど あれ?

we areツインなコトに 甘えちゃってる?

 

大切だから 好きだから 背中合わせになって…

(前へ行くん)だすっ!

 

Twin mirror 開いたら 勇気を交換こ

あのね気持ちは一緒さ(だから大丈夫)

一人になることは 悲しいことじゃない

おニューな二人で またはしゃごう!

だが、2番では決定的な「背中合わせ」というワードが登場する。「背中合わせ」は単なる別離ではなく、違う方向を向いて支え合うことだ。そう、この別離はあくまで二人の未来のため。春のグランプリのみ、ひびきを止めるための別離である。つまりはチームに還元するためのソロ活動。お互いソロ活動を頑張ることで、掛け合わせるものが大きくなり、二人での(、そしてドレッシングパフェとしての)活動を盛り上げることができる。「抱きしめ合っ」て完結した世界で生きてきた二人は、シオンという第三者との出会いを契機として、物語の中で何度も他者性を確認し合った。その上で、他者であるからこそお互いのためにできる・できたことがある、それは嬉しいことなんだと「背中合わせ」になるのだ。

似てるようで似てないheart 鏡に映す未来

ほらね 僕は僕 私は私で

 

Twin mirror♥compact

見せて前よりpretty smile(ピンクのほっぺで)

Twin mirrorたたんでも ずっと二人はsister

離れていたって 『LO♥VE』繋がる

 

いつでもどこでも

『愛』(for you)

繋がる!

「似てるようで似てない」二人は、Twin mirror=互いだけで完結した世界から出ていく。しかし、互いだけで完結することをやめても「二人はsister」。このフレーズに込められた意味を読み解くには、もう一つ参照すべきエピソードがある。

3rdシーズンはらぁらの妹・のんの参戦、姉妹女神ジュリィ/ジャニスの登場と、「姉妹」の話が主軸となっていた。*2ジュリィとジャニスはプリパラの「表/裏」を司る女神。ジュリィとそらみスマイル、ジャニスとノンシュガーが深く関わっているので、ドロシー&レオナの姉妹関係に言及されることはなかったのだが、第130話、女神たちからキャラたちへエールが贈られる際、ジュリィは「レオナ、一生守る人が決まってるなんて、あなたは幸せな子ね」と言うのだ。

果たしてただの姉妹だったら、つまりいずれ分かれていくことの決定付けられた姉妹だったら、そのような言葉をかけられるだろうか。らぁらとのんも姉妹ライブをするし、大変仲の良い姉妹であるが、それぞれに大事なチームがあって、アイドルとしてはライバルである。この先勿論家族なので助け合うことはあるだろうが、「一生守る人が決まってる」なんて唯一無二の絶対的なパートナーであり得るだろうか。

「二人はsister」が「一生守る人が決まってる」という意味合いなのだとしたら、やはり第85話における別離宣言は、むしろ対であることの再構築と捉えられるだろう。レオナは第18話で、自らを「月」、ドロシーを「太陽」に例えている。「私は月で、明るい太陽がドロシーで、照らしてもらって輝ける」。それじゃだめなんですね、と言うレオナに、そふぃは「あなたと私、似てるかも」と声をかけ、「月」という在り方は否定されない。このことが全てで、ドロシー&レオナは本質的に「太陽/月」という「対」なのだ。それを「表/裏」を司る女神であるジュリィから認められた、という文脈は重要である。

と考えると、「僕」/「私」、女/男というキャラ付けは太極図を彷彿とさせてくる。陰中の陽と陽中の陰。どちらがどちらなのかは混沌としているが、二人の世界が広がったとて、二人が他者であるからと言って、対であることは変わらないどころか、むしろ強まる。この「対」性が、私がドロシー&レオナという双子を究極のシンメ形態と呼ぶ所以である。*3

 

 

なお、こんなことを長々と書かなくても十分ドロシー&レオナは魅力的なキャラクターである。まずめちゃくちゃ顔が可愛い。あと声も可愛い。情に厚いし、プリパラが大好きである(ドロシーのプリパラ愛が伺える第53話「み~んなプリパラ禁止令」は凄く好きな回だった)。でもそれだけではなくて、例えば3rdシーズンでそらみに敗れた後、「アイドルタイム」で修行の旅に出たシオンを探して、二人はどこまでも「にんじゃもんじゃ」の屋台を引いていく。三人共がドレッシングパフェをホームであると認識しているからこその距離感が、素直に良いグループなのである。そして、夢破れたからこそ強くなれるということを教えてくれる限り、三人が神アイドルになるいつかの日を信じ続けたいと思う。

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*1:プリパラの外でらぁらとレオナが会うのは初めてなので、プリパラ内での姿を指していると思われる。

*2:3年目に入り、より低年齢層のプレイ人口が増えていたことが理由なのではないかと推測する(前記事にも挙げたが、こちらを参照されたし。らぁらはなぜ年を取らない? - 『プリパラ』誕生秘話と今後の期待、タカラトミーアーツ・大庭晋一郎に聞く【後編】 | マイナビニュース)。

*3:ちなみに「似てるようで似てない」けれど「対」として生を受けたことに自覚的であるタイプの双子というのは、思い返すとこれまでにも何組か出会っていた。アニメ「少女革命ウテナ」の幹薫/梢、「戯言」シリーズの匂宮出夢/理澄(殺し屋/探偵で精神が男/女)、「TANATHOS」シリーズの立花美樹/真樹(死神/探偵)など。双子ではないが、アニメ「蒼穹のファフナー」の真壁一騎皆城総士(存在/無)も共依存→①ギスギス→②鉄壁のコンビ、という道筋を通る(しかもなんとデュエットキャラソン「太陽と月」が存在する)。これからも蒐集していきたい。

希望とミュージック

「プリパラ」めっっっっちゃハマりました!好き!!!!!
と、いうことで今回はアニメ「プリパラ」がとにかく最高、という話をします!
一応経緯を書いておくと、11月の終わり某プリパラは最高ブログを拝読し、気になっていると友人に話したところじゃあ「プリパラ」1stシーズンから見ろと言われたので、速攻でdTV契約して*1、結果として筐体に通っている。
そう、プリパラはアニメ作品であると同時に、筐体型ゲームでもある。同年代だったら現代版「オシャレ魔女♥ラブandベリー」と言えば分かってもらえるだろうか、100円1プレイで簡単なリズムゲームをしながらカードとしてコーデアイテムをコレクションし、自分なりのコーデを組み立ててまたプレイする……という形式の。ラブベリと異なるのは、プリパラはバックボーンとなるアニメシリーズと連動しており、それはアイドルの物語である、ということである。

簡単に本作品のあらすじを書くと、「普通の女の子・真中らぁらが、友達との交流を通して神アイドルを目指す」という、非常にシンプルな説明に集約できる。物語序盤ではプリパラを禁止する校長先生との対決と3人チーム結成までのあれこれが描かれ、その後1stシーズンでは新人しか挑戦できない、パラダイスコーデを賭けたアイドルグランプリ、2ndシーズンでは変則的な5人戦のアイドルドリームグランプリ、3rdシーズンではいよいよ神アイドルグランプリに挑戦する様子が描かれる。続編に当たる「アイドルタイムプリパラ」では、神アイドルになったらぁらは後輩のサポートに当たり、イチから新設のプリパラを盛り上げていく。一見ありふれた設定の本作品になぜこれほど心揺さぶられたのか、書き殴っておきたい。

トキメキのNeverland

プリパラとは……女の子の憧れの世界!年頃になると、女の子にこっそり届くプリパラの入場券、プリチケ!夢の世界への招待状!アイドルを目指す女の子やトップアイドルまで、歌やダンスやファッションをライブで競い合う!正に、アイドルたちのパラダイス!!!(第1話より引用)

「プリパラ」がアニメとして、そして筐体ゲームとして隆盛を誇る理由の一つとして、プリパラ空間の設定の巧みさが挙げられる。そしてこの、プリパラ空間の在り方こそがプリパラにおけるアイドル像を決定していると言えるだろう。

昨今のアニメ業界ではアイドルものはありふれるほどに溢れているが、「プリパラ」に顕著なのは、女児アニメの王道・「変身」する魔法少女ものの系譜に連なっている点である。魔法少女物語世界では多分にして、主人公の暮らす現代日本の都市部を模した世界と、魔法少女の故郷である異世界が交錯することによって物語が動き出す。平凡な日常と、希望や夢が可視化された空間。「怪人」は少女の希望や夢を奪い、「怪人によって滅ぼされた異世界の王国の姫」や「女神」が少女に希望や夢を取り戻し、創り出していくための力を授ける。「変身」は「普通の少女」が希望や夢を真っすぐに信じ、自己実現できるようになるためのギミックだ。「プリパラ」物語世界でも、日常生活の場と、プリパラアイドルが活躍する空間・プリパラは分かたれていて、少女たちはプリパラアイドルの活躍を見ることで日々の生活の活力を得ている。一方プリパラアイドルたちは、自分が憧れたプリパラアイドルのように自分らしくあるため、そして自分に希望を見出してくれる少女に力を授けるためにライブを行うのだ。だから、所謂芸能界とは関わりがないし、アイドル活動を頑張ることによって生活が安定するとか町が活性化されるとかいうようなこともない。魔法少女たちのように、日常生活の中で生まれる少女の希望や夢に直接作用する、ある種ファンタジックな存在なのである。けれども、当初厳然と分かたれていた2つの空間が、プリパラで得た希望で日常生活が輝いていくことによって、緩やかに融解していくところが面白いんじゃないかな~~~と思う。
また、「プリパラ」がそうであるように、大半のアイドルものは、トップアイドルになりたい!という夢・目標を持った少年少女がそれを叶えていくプロセスを物語化する形を取っており、視聴者は一ファンとして物語を見守ることになる(異性アイドルの物語を、アイドルと身近な同性キャラクターの介在なしに画面の外側から応援するケースに最も顕著)。そのとき物語の中心はあくまで主人公たちが夢を叶えられるのかどうか、という点にあり、ファン=視聴者の方は向いていない。カメラアピールや、支えてくれるファンの大切さに気付くエピソードなども挟まれるだろうが、それはあくまでアイドルの物語を小説のように鑑賞しているだけであって、ファンの物語とは交錯しない。二次元である以上当たり前のことだ。*2しかしながら、本作品ではファンの物語がアイドルの物語と交錯する描写が実に多く見受けられる。
例えば第4話、主人公・らぁらの最初のファン・栄子はテニス部なのだが、「こないだ、試合の前日にらぁらちゃんのライブ見たんだ!そしたらすっごく元気が出て、試合に勝てたの!」「だから、今日もらぁらちゃんの声であの歌が聴けたら、明日の試合勝てるような気がするの!」と言う。
或いは第8話、主人公・らぁらが親友・なおに隠れてプリパラデビューして活躍してしまい、そうとは知らないなおはプリパラアイドル・らぁらのファンである、と話すシーン。「アイドルランクはまだまだ低いんだけどね、声がとっても良くて、笑顔がすっごくキラキラなの!らぁらちゃんのライブ見ると、私どんなに落ち込んでいても、笑顔になれちゃう」めっっっっちゃ分かる!!!!!そうなの笑顔になれちゃうよね~~~私笑顔が素敵なアイドルが好き~~~~~!!!!!

この新興宗教の信者か???て言動、完全に我々がアイドルを見る眼差しと一致しているように思うんですよね。でも本当にやばいのはこのあと。
結局打ち明けてぎくしゃくするんですが、コンビを組んでいるみれぃ「アイドル違反」「アイドルは泣き顔を見せてはいけない」「なおちゃんを笑顔にするのも、アイドルの役目よ。あなたが今すべきこと、それはプリパラのステージに立つことじゃない?たった一人のともだちを笑顔にできなくて、大勢のファンを笑顔にできると思ってるの?」と諭されるんですよ。そしてライブ前に「あたしがいつも笑っていられたのは、あなたが友達でいてくれたからだよ」「そして、笑顔でいられるから、今こうしてプリパラでアイドルっていう夢を追いかけられるの。応援してくれる人に、笑顔を届けられるの。あなたの笑顔がいつもそばにあるから、あたしは笑顔でいられるの」となおにメッセージを送るのだ。何ていうか、段々推しが売れてきてハコも大きくなり一抹の寂しさを抱える古参ヲタと、引き留めるアイドルて感じなんですよね……。アイドルに「ファンの皆の笑顔が活力だよ☆」て言われたら嘘でも嬉しいじゃん、らぁらはマジだから。そりゃ好きになっちゃうよな。
プリパラのモットーは「み~んなトモダチ!み~んなアイドル」。それぞれの生活があった上で、お互いの活躍を励みに頑張れるって理想的な人間関係過ぎる。お互いがお互いにとってのアイドルでありファンである関係のことを多分友達と呼ぶんですよね。これは2ndシーズンで「セレパラ」という「み~んなライバル、セレブだけアイドル」をモットーとした、一流アイドルのパフォーマンスを大衆が一方的に鑑賞するだけの空間が爆誕したときに分かりやすくなるんですが、関係が対称で健全。

だからプリパラは、ファンの物語を作品内に取り込むことがめちゃくちゃ上手くて、実際の筐体でのプレイを通して視聴者も作品内外のコミュニケーションに参加できる点がやばいな~~~と思う。そもそもキッズアニメは商売上手で、季節ごとの限定コーデが作品内でお披露目されればゲーム内でもピックアップされるし、グランプリが開催されればプレミアムなコーデが配布されるし、キャラクターたちの用いるマイクなども購買欲を煽る演出で毎度アピールされるし、君もプリパラデビューしようよ!キャラクターたちのようにキラキラ輝こうよ!と虚実を溶解させる力が桁違いだ……。

長く二次元、しかも小説という基本一冊で完結したコンテンツのおたくをやっていたためか、「アイドルと共に生きている」感に弱い自覚がある。でもこのリアルタイム感はドルヲタは多少なりとも求めているように思えて、ファンサ欲しいとか認知貰いたいとかリア恋みたいなことに留まらず、「今・ここにいるわたし」と「今・ここにいるあなた」を感じるために現場に行くんだと私は思うんですよね。自担である増田さんはよく「沢山の人が予定を合わせて今・ここにいること自体が奇跡」といった趣旨のことを述べ、「東京ドームは夢の場所」と繰り返すのだがマジでそれ。

 

さてそれから、プリパラはヴァーチャルであると同時に極めて身体的な空間であるという点も、イマドキで好きな点である。
年頃になった女の子たちは、プリパラへの招待状「プリチケ」を手に「プリズムストーン」と呼ばれる施設へ出かけ、ゲートを通ってプリパラに入ることになる。この際なりたい自分・本来の自分に「変身」するのだが、スタイルが良くなったり好きなファッションを身に纏うというレベルから始まり、めちゃくちゃキャラを作ったり、内気な子がプリパラ内ではなぜか高飛車になってしまったり、極端な例では二重人格に近い分裂を見せる。この、プリパラの「外」第の姿と「中」の姿、どちらも自分なんだと肯定してくれるところが良さなのだが(第32話「みれぃ、ぷりやめるってよ」参照)(私立パプリカ学園校則第1条「生徒は自分に自信を持たなければならない」!!!)、「プリパラに行く」=「筐体をプレイする」である以上、分裂した自意識は例えるまでもなくアバターである。海外のプリパラに行くためにはリアルワールドで海外に行ってからプリパラに入る方法とプリパラ内を移動する方法があったりと、プリパラ内の世界はリアルワールドとパラレルに存在していて、プリパラ内の姿で直接リアルワールドに出向くことはできない。つまりプリパラ内の姿はヴァーチャルな身体である。また、プリパラ内でのライブはリアルワールドにも配信され、まだプリチケの届かない幼い子や男性はライブに行くことができないので、配信で楽しむ「茶の間」になる。TV文化が花開いた半世紀近く前から、ライブに行くなどリアルな体験より先に画面を通して人々がエンタメと接すること一般的になったが、茶の間で画面の向こうのアイドルを応援するというヴァーチャルな行為が日常になったことを超えて、ヴァーチャルな領域から「ライブに行く」という非常に身体的な行為が生まれる、'10年代だな~~~~~という感じである。

完全にヴァーチャルな存在、ボーカルドールのファルルとの交流が1stシーズンのクライマックスになるのだが、ここで「ボーカルドールはトモチケをパキれない」というルールが示される。プリパラでライブをすると、最新のアバターのデータと新しいコーデアイテムが載った「プリチケ」が印刷されるのだが、上部は「トモチケ」としてパキっと折って友人と交換することで、次回以降のライブ時にチームを結成することができる。トモチケをパキれないということは真の友達にはなれないということ、つまり画面の内側にしか存在しないあなたのアイドルは、あなたの人生とちゃんと交錯してくれるのか?という問いがそこには含まれているのではないだろうか。(答えを言ってしまうと、YES!)
また、2ndシーズンでは、リアルワールドの芸能界で活躍しつつも、人間不信で「ボーカルドールになりたい」と願う、ひびきというキャラクターが登場する。ひびきの願いは「悲しいこと」で、思い留まらせなければならないとらぁらたちは奮闘することになる。のだが。
私はこの展開に結構抵抗があって、と言うのもだったらファルルはどうなるんだよ~~~!!!ファルル、いつも一緒にいられる友達ができるから嬉しいて言ってたじゃん!それはそれでいいじゃん!あれだけプリパラ内での私をそれも君なんだよて肯定してくれたじゃん???現実礼賛なんてくそくらえだ!!!!!
特にパルプスから来たナチュラル少女・ふわりがファルルに苦言を呈するシーン(第86話参照)、「マーガレットね。私のふるさと・パルプスでも草原に沢山咲いてるのよ」「あなたにも見せてあげたい。パルプスで、どこまでも自由に咲き乱れる花たちを。あなたのマーガレットに劣らない美しさよ」ファルルは見られないんだが?という感じである。完全にキッズアニメを成人が見ているのが悪いんですが、まだこういう教育的な思惑にはキレてしまう……(ちなみに3rdシーズンの子育て要素も結構キツい)
とは言え最終的にファルルは、「まほちゃん(ひびきのこと)は今のままでファルルのともだちなの!」とらぁらに命運を託すことになる。リアルな存在とヴァーチャル存在、そんな区別自体もはやしなくていいんだよと捉えてなるほどね~~~~~してる。

また、以上のようなヴァーチャルな空間を「いつかは卒業すべきもの」として描いていない点も推せる。1stシーズンではクリスマス回こと第25話「クリスマスプレゼントフォーユー!」で(!)、らぁらの母親と校長先生の現在進行形の物語が描かれた。ただの現実礼賛、プリパラで希望や夢を得るのもいいけど後はそれぞれの人生を現実的に頑張ろうな!という話ではなく、プリパラのある日常というかヴァーチャルの溶け出したリアルというか、いつでもそこにあるもの、そういう話なんじゃないかなと思う訳である。

リアルワールド/プリパラという区分は、平凡な日常/希望・夢のある空間、リアル/ヴァーチャルという区分と対応し、一見絶対的に見えるのだが、それぞれに越境可能なもの、むしろその境界線が融解したときに面白さがある。「プリパラ」最終話でファルルが数時間だけリアルワールドに出現し学校生活を楽しむ展開があるのだが、あれはきっとその想像力、それこそ希望とでも呼ぶべきものを肯定しているんじゃなかろうかと受け取った。

 

だから唐突だけど、プリパラ=ネバーランドだと思うんですよね。(NEWSの話だよ~~~~~!)

ネバーランドは「テーマパークのように、存在はいつもそこにあって、そこに行くために、また頑張ろうって思える場所」で、「現実にだってファンタジーは起こりうる」だった訳じゃないですか。心にネバーランドでの旅を通して獲得した希望を持っていれば、現実だってファンタジー的な希望に満ちた空間に変えていける(、そしてまたいつでもネバーランドに還ってくれば良い)、ていう。「プリパラ」も多分同じことを言っていて、プリパラでは「変身」することで自信が持てて、ライブという形で自己実現でき、相互に笑顔になれて明日への希望が持てる。

それに、第1話で突然コンビを組んで一緒にライブしてほしいと頼まれたものの、ステージで歌ったこともないし、ダンスだってやったことないし……と言うらぁらに、みれぃは言うのである。「プリパラは好きぷり?」「じゃあ大丈夫、できるぷり!」

第24話の校長先生を説得するためのライブ前にも、第139話でプリパラ崩壊の危機が訪れたときにもリフレインする象徴的な台詞の一つなのだが、これって「ネバーランドの鍵。それはNEWSをずっと愛し続けてくれている、あなたの心です。」とイコールではないだろうか。さんざ鍵ペンラは魔法少女のステッキなどと言われていたがマジで、プリパラアイドルと同じく、NEWSもまた魔法少女タイプのアイドルだったのだと気付かされた!!!!!

Take off now

アイドルと魔法少女の話をもっとしたいので、アイドルタイムプリパラについて。 

本作品の主人公は、夢見がちなゆめかわ少女・夢川ゆい。プリパラアイドルの活躍に刺激され、少女たちが自らの「夢」を取り戻し、創り出していく様子が中心的テーマに据えられていて、「アイドルは男の子がやるのが常識」な町・パパラ宿で、女の子がアイドルやってもいいじゃん!女の子が夢を持ってもいいじゃん!と奮闘するという、改めてアイドルの持つ無限大のパワーについて、をやろうとしている作品です。そしてここが重要、ゆいの初めての衣装はまんま魔法少女モチーフです!

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それと同時に、「プリパラ」では第8話でらぁらがアイドルとして「観客を楽しませる」ということを学ぶときも、それぞれの大会で優勝したり物語的危機を解決する際も、「トモダチ」との交流が一番に重視されていてそれは本作品でも出てくるのだけれど、よりそれぞれの少女の自己実現に焦点が当たるようになったことに注目したい。つまり、魔法少女化は自己実現の重視と連動している。

パパラ宿にはかつて古代プリパラが存在し、昼の精霊・ファララと夜の精霊・ガァララが昼夜交代で少女たちを見守っていたが、誰もいない夜の担当に嫌気が差したガァララが、少女たちの夢を奪うことでファララを眠らせてしまう。そのためパパラ宿の少女たちは夢を持つ気すら起きず、言ってしまえば抑圧された状態にあった。

ゆいはその中で例外的に夢見る力が無限に湧いてくるゆめかわ少女で、パパラ宿にプリパラができるなり、先にダンプリ(男子プリパラ)でデビューしていた兄を追いかけてプリパラデビュー、パパラ宿の少女たちにプリパラの楽しさ、夢を見ることの素晴らしさをアピールしていく。そして少女たちは、ゆい(と神アイドルの仕事でパパラ宿に転校してきたらぁら)に影響され、それぞれの幼少期に摘み取られてしまった夢を取り戻すのである。

ゆいとチーム・MY☆DREAMを結成することになる、にのみちるもそう。にのはスポーツ万能、各部活の助っ人として活躍しており、アイドルも熱血であると知ってプリパラデビューするも暫くは夢を見つけられずにいたが、第33話でガァララから「ヒーローアイドルになる」という夢を取り戻す。更に直後のライブによって、「ヘアメイクアーティストになる」という、ゆい&らぁらの影響で咲いた夢(第9話「おしゃれスタジオ始めたっての」参照)を奪われていたちあ子も、再び夢を取り戻すのだ。更にさらに、第35話「未知とのミーチル」では、「小さ過ぎて奪うことすらできなかった」みちるの夢が開花する。実はみちるは、幼少期に夢を摘み取られそうになったとき、「私に夢はありません」と言い聞かせて自分で封印してしまっていたのだった。このような夢の連鎖が、ゆいたちにガァララと対決する力を与えることになる(この連鎖は「プリパラ」の「トモダチ」概念をちゃんと引き継いでいて好きなところ!)。

「アイドルは男の子がやるのが常識」という設定といい、現代社会の女性の社会進出に伴うあれこれに露骨に触れた点で、ある意味教育的になってしまったなという残念さ、というかただ当たり前に、誰にでも自己実現が許されていると示した「プリパラ」の方が先進的な世界だったのではという感は否めない。しかしながら、「アイドルタイムプリパラ」がこの先面白い境地に達するのではと期待してしまうのには理由がある。ゆいたちのライバルとして登場する、しゅうかの存在だ。

しゅうかは「アイドルタイムイズマネー!」と言い放ち、「どんなことでも即実行、即実現できる私に、夢なんか必要ありませんわ」とゆいたちと真っ向から対立する。一方で「♪パンがないなら 作ってやるわ」と歌う大変な努力家で、効率良く時間を使うためにクーポン券をばらまいて宣伝するし労働力を買う(第27話「華園しゅうかでございます」参照)。が、クリスマス前に行われたアイドルタイムグランプリで敗北し、現在はガァララに憑りつかれてしまっている。そしてらぁらたちはファララとガァララ、2人とも一緒に起きていられるための方法を探しているところなのである。だから「昼/夜」がどう合わさるのか、「夢/現実」の二項対立がどう回収されるのかが問題なのだが、ゆいとしゅうかの考えは意外と近い点があるように思う。

まずここで、本作品の主軸となっている「時間」のモチーフを見てみると、キャッチコピーは「み~んな集まれ!アイドル始める時間だよ!」。1stop「Just be yourself」のサビは「♪一秒一秒が 過去に変わる“イマ”を 全力で愛していこう! 抱きしめて Our Dream」。「夢を見る=アイドルになる=今を全力で生きる」、つまり漫然と他者の価値観に流されて生きることとの対立として「夢」は描かれているのだ。

だから、ゆいソロ「チクタク・Magicaる・アイドルタイム!」はサビが「♪形のないモノこそ ほしいよ!」「♪ドキドキ待ちきれないなら チクタク 今とらえて! チャンスは一瞬だけよ」、そして「♪時よ何時も美しい!」。一方しゅうかソロ「Miss. プリオネア」は、サビが「♪ねぇ 何よりも時間がほしいよ 待てないの!」「♪夢なんかよりも ねぇ 何よりも実感がほしいよ マテリアル!」で、「♪未来はダイヤよりもコウカ」「♪値段のついたモノは 大したことないのよ」。ゆいは形のない「夢」、しゅうかは実体のある「現実」を求めるという点でははっきり対立しているのだが、それは「今やって来ようとするドキドキ」、「プライスレスな実感」が欲しいからなのではないだろうか。

だが同時にしゅうかの限界も明らかで、チームを組まず、友達作ろうとしないしゅうかは、ファンに対する愛もない。プリパラではライブでお金を取らないのだが、しゅうかは例外的に入場料を徴収している。自分で「値段のついたモノは大したことない」と歌っておきながら、他者とはお金を通じてしか交流できないのである。プリパラの良さは友達になって相互に笑顔になれること、希望の感染である。しかしながら、しゅうかのやり方ではお互いがお互いにとってのアイドルでありファンであるような、「トモダチ」関係は形成されない。

ちなみに、MY☆DREAMの初オリジナル曲「Believe My DREAM」では「♪世界旅行に旅立とう」という歌詞がある。夏休みに地方のプリパラを訪ねる展開があったことからも、自分たちがより広い世界で活躍したいというだけでなく、「夢」を広めて「トモダチ」の輪を広げようという動きとして捉えられるだろう。実は「プリパラ」2ndシーズンの終盤、メインキャラクター全員で歌った楽曲「アラウンド・ザ・プリパランド」では、「♪世界中がトモダチ」とあった。MY☆DREAMはその流れを正しく汲んでいるわけである。*3

個人的にはやはり魔法少女タイプの、希望を感染させていくアイドルが好きなのでゆいに肩入れしてしまうが、しゅうかの言うことはめちゃくちゃ理解できるし、両者が融合した先を見てみたい。というのが第39話時点での感想である。*4

ごきげんなMusic

ここまで好きポイントを書き連ねてしまったが、「プリパラアイドルもNEWSも魔法少女である」の他に、やっぱりそれぞれのアイドルが魅力的で最高だから是非視聴してくださいってことも言いたかったので、特に好きなライブを紹介したい。

てかまずプリパラの凄いポイント「3DCGライブがわくわくする!」をまだ書いていなかった。アニメと3DCGと言えばやはりプリキュアのエンディングダンス。2008年放送の「フレッシュプリキュア!」以降定番化していて、今年度も最先端の素晴らしいクオリティであることは間違いないのだが、他作品においても(アイドルの)ダンスを3DCGで見せる、という点については様々な試行錯誤が繰り広げられている。

その中で本作品の好きなところは、一言で言うとコンサート空間の作り込み!

まずアイドルの顔が可愛く映る角度がちゃんと分かってるし、カメラワークがちゃんとしてるし、会場やセットは意外とリアルな作り、そこに丁寧な照明演出とキラキラのエフェクター

薄暗いコンサート会場は1万弱くらいの規模で、メインステージから始まって花道を移動、大サビは2段になるセンステで「サイリウムコーデ」に着替えてキメる、というのが大きな流れ(これは筐体をプレイしたときも同じ)。サイリウムコーデのキラキラさもさることながら、楽曲に合わせたライトの点灯やペンラの海が揺れる様子も最高。アイドルだけでなく、コンサート空間全体の演出がめちゃくちゃアガる。


PriPara プリパラ EPISODE 114 Tricolore「Mon Chouchou 」

これは左からファルル・ひびき・ふわりの前述した3人によるチーム・Tricoloreの結成直後のライブ!(「Mon chouchou」)ふわりバク転してる……!とかモーションの優美さもそうなんだけど、3人のメンカラに揺れるペンラの海が最高ッ……!ミュージカル調のテンポの変化に合わせて照明の色が変わるのもめっちゃ良いし、白っぽいキラキラの圧倒的説得力、エンターテインメントの輝きが天元突破してるし、宇宙(そら)を煌めきで埋め尽くしてるよ~~~~~!135話のらぁらたちとの対決時も歓声といい本当に良いので、是非そこまで辿り着いた暁には堪能していただきたい。

トリコロールは、ボーカルドール・一流芸能人・自然界の王者という強過ぎるメンバー構成なので、それぞれのソロもやばい!ファルルソロ「0-week-old」はバレエモチーフ!?と大きな衝撃があり、ひびきソロ「純・アモーレ・愛」は勝者のオーラを前に跪くしかなかった。初披露時の第73話はAパートと特殊edでライブが行われたのだけれど、こんなの勝てない……という絶望と、ひびきさまになら支配されたい……という欲望でないまぜになる。メイキングドラマ(サビ前に差し込まれるイメージ映像のこと。これで観客にメッセージを届けるらしい)のサファイア革命純真乱舞!!!もめちゃくちゃ良い。ゲームでひびきサイリウムコーデをゲットしたので、あらゆるキャラに着せて純・アモーレ・愛を歌わせている(ガァルルめっちゃ良いです)。ふわりソロ「コノウタトマレイヒ」はヤギ可愛い(ひびきとデュエットver.もあるよ!ふわりは仔ヤギとチームを組んだりもするよ!)。


PriPara プリパラ EPISODE 26 FALULU BOKERDOLE 「0 week old」


PriPara プリパラ EPISODE 73 Shikyoin HIBIKI 「純・アモーレ・愛」

らぁらはと言うと、ポップなみれぃと、天賦の才を持つそふぃとチームを結成してます。SoLaMi♡SMILEていいます!ラブリー・ポップ・クールの良バランスで、でも後発のチームのような計算されたメンバー構成ではなく、この子しかいない!と友達になってからチームを結成している王道チーム。実はみれぃはプリパラの外では風紀委員長で両親は検事と弁護士、でもポップなぷりぷりアイドルになりたくて計算を重ねる……という大変愛しいキャラ。そふぃは普段は体力がなくてくらげのように漂っているのだが、梅干をかじると一気にシャキッとクールになって「元気にしてた?籠の中の小鳥ちゃんたち」と会場を沸かせる罪なキャラ。


PuriPara SoLaMi♡SMILE 「Happy Pa Lucky」

そらみスマイル最高のライブと言えばやっぱり、第135話で最初のop曲でもあるMake it!を歌ったときになっちゃうのだけれど、それはもう見ていただくしかないと考えているので好きなやつ!1stシーズン、校長先生にプリパラを認めてもらうために文化祭でゲリラライブを行ったときの楽曲が「HAPPYぱLUCKY」(第22話参照)。多幸感が凄いし、大サビ前の力強い「♪神アイドルへ!!」で、ああこの子たちが天下を取るんだな~と悟ったのだった。主人公力が凄い。

そらみは完全色違い衣装をよく作ってくるイメージがあって、パステルカラーのらぁら、アメリカンな色遣いのみれぃ、大人可愛いそふぃと同じデザインでも全然違う印象になるのが女児心、もといコレクター心をくすぐる。

DressingPaféは、そらみスマイルへのライバル意識で結成されたチーム!双子のドロシー&レオナと、囲碁世界チャンピオンのシオンで構成されていて、初めは対そらみで繋がっているだけだったのが真のチームになっていくのが見どころ。推しです。センター+シンメのフォーメーションが確立されていて振付がはちゃめちゃ可愛い……可愛い!


PriPara プリパラ Episode 22 「CHANGE! MY WORLD」

これは同じく第22話から「CHANGE! MY WORLD」!この先キラキラヘソ出し衣装とか忍者衣装とか(ドロシー&レオナの実家は「にんじゃもんじゃ」というもんじゃ屋さんなのだ!)うきわが付いてる水着衣装とかで何度も歌うことになるのだが、いつも可愛い~~~~~「♪夢のDoor 『三位一体』でなら」とか、サビ前のキュルルルルルルルーン!てとことか、「♪オンナノコも♪ オトコノコも♪ 歌おうよ♪」とかありえん可愛い、双子シンメは最強過ぎるし、でも夢のDoorは三位一体でなきゃ開けないんだよ……!3人チームとして完璧なのだ……!

2ndシーズンの新キャラ・Armageddonは天使キャラ・みかんと悪魔キャラ・あろまの幼馴染による絶対的シンメ。2人の間には誰も入ることはできないと思われていたところ、ボーカルドール・ガァルルの加入でGaarmageddonになったよ!まず楽曲が凄い!これは3人の初めての楽曲アメイジング・キャッスル」で、とにかく楽しい〜〜〜可愛い!私これマリウスセンターでちびーずに歌わせたら絶対可愛いと思うんですよ……!衣装もスチームパンクぽいのとかいつも可愛いの出してくるし、何気に「アイドルタイム」でもレギュラーだし強い。


PriPara プリパラ EPISODE 106 Gaarmageddon「Amazing・Castle 」

3rdシーズンは、らぁらの妹・のんのプリパラ参戦など、姉妹の話が主軸になっており、しっかり者ののん、プリパラ外では内気だけど中では高飛車なセレブのちり、サパンナから来た野生児のペッパーによる後輩チーム・NonSugarが結成されます!属性はトリコロールと同じ、ラブリー・セレブ・ナチュラルの構成なのに、チームのカラーは全然違うのだ!チームとしてまとまるまでに時間がかかるのだが、そのばらばらさこそが魅力!グー・チョキ・パーで無敵!


PriPara プリパラ EPISODE 120 NonSugar「Sugarless×Friend 」

こちらオリジナル曲シュガーレス×フレンド」になります。イントロと一緒にぱっとスポットライトが当たるのもそうだし、「♪いつの間にか なんか仲良し」で手を合わせるところの影の入り方もめっちゃ良い~~~そらみなどの明るいステージだとどうしてもセットが広く見えがちで、そらみはむしろ広がる、ドレシは寄って魅せるんだけど、ノンシュガーはMステばりのカメラワークで勢いを表現しているのでめっちゃTV映えする。

あとやっぱり、UCCHARI BIG-BANGS「愛ドルを取り戻せ!」には触れざるを得ない……!神アイドルの座を巡りトーナメント戦が行われた3rdシーズン終盤、ダークホース的に登場したチーム。左からコスモあじみちゃん子。コスモはそふぃの姉でサイリウムコーデのデザイナー、天才芸術家のあじみは美術教師としてらぁらたちの学校に赴任、ちゃん子はそふぃ親衛隊の一員でありながらグラビアアイドルになろうとしたりしなかったりする、まあとにかく濃い面子で、しかしこの最終盤でちゃん子モデル作っただけでやばい。社会人と熱烈なドルヲタ、プリパラへの愛が溢れ出してこうなったんだな……!て感じがめちゃめちゃ気持ち良い、イントロのヘドバンと特効で問答無用にアガる~~~~~


PriPara プリパラ EPISODE 129 UCCHARI BIG BANGS「Idol o Torimodose!」

それから「アイドルタイム」も、それぞれのソロ曲も面白いし、ペアライブも導入されたし、どんどん「プリパラ」のキャラクターも先輩として登場するのでサービスが凄い。にののテクノな楽曲も踊り出したくなるくらい良いんだけど、ここはみちるソロ「GOスト♭コースター」。これまでなかった大人っぽい楽曲~~~!恋ダンスみたいな振付もクール!


[HD] Idol Time PriPara - アイドルタイムプリパラ - GOst ♭Coaster - Michiru Kouda - Episode 15

そして何よりやばいのは、男プリがあるってことですね……。

ゆいたちの暮らすパパラ宿では先述のとおり、「アイドルは男の子がやるのが常識」で、女の子は男プリの配信を楽しみに待つ日々なんですよ。ヒツジに変装して潜入したりもするけど!そのダンプリのトップアイドル、WITHの3DCGライブが放送されたのが第32話「WITHとプリ×プリフェスティバル!」(「Giraギャラティック・タイトロープ」)。ゆい&らぁらのメイド服&執事ペアライブが放送された回でもある。


[HD] Idol Time Pripara - アイドルタイムプリパラ 32 - WITH - ギラ・ギャラクティック・タイトロープ

WITHは髪色で分かると思うんですが、明るいウェイのアサヒ、可愛いキャラのショウゴ、ミステリアスなコヨイの3人組。実はショウゴはゆいの兄で、意地悪してくるし、お兄ちゃんばかりアイドルやってずるい!!!という感じで、ゆいがアイドルになったことでアイドル同士の関係が始まるのがアツ過ぎる。

それまでのプリパラ3年間の積み重ねがあってなのは勿論なのだけれど、WITH、軽率に良いから……!「♪嘘だよぐっときたよ」ずる過ぎない???「be with you……」は実質「Sexy rose……」\パリーン!/ そしてなんと、今なら筐体で男プリモードがプレイ可能!

キャラ紹介がてら3人チームのライブに偏ってしまったので、5人チームのも。「オムオムライス」!


Cosmic Omurice DaVinci • Omurice •

「♪一口だけで しあわせ弾む スポットライトに照らされて きっと キミは 理想のアイドル みんな笑顔にしちゃう」分かるオムライスはおいしいよネ~~~~~デリシャス!コスモさんとあじみ先生が美術学校時代一緒に食べていた思い出のメニューというエピソード付き(第65話参照)。とにかくキャッチ―な歌詞と飛び跳ねるような振付でどんどんわくわくしてしまう~~~~~!好き!

 

 

と、いう感じで、一言で言うとプリパラめちゃくちゃ楽しい……!まずアニメを見ていただいて、3DCGライブもまだまだ沢山あるので是非覗いていただいて、そして筐体に行こう!ゲーセンは比較的キッズが少ないので行きやすいが、健全な気持ちでプレイしたいので私は平日昼の近所のデパートのおもちゃ売り場に行ってますね。プリチケはただのコーデカードではなく、思い出なので帰宅してからも矯めつ眇めつして次回のコーデ考えたりする……。参考文献。

筐体ゲームの楽しみ方はネットワークと対極にある - 『プリパラ』誕生秘話と今後の期待、タカラトミーアーツ・大庭晋一郎に聞く【前編】 | マイナビニュース

来年度以降どうなるかは分からないけれど、末永く魔法少女型アイドルという発明が続いていくことを祈っている。

*1:3rdシーズンまで全140話、2017年度の最新作「アイドルタイムプリパラ」も随時配信中で、月額500円しかも初月無料!震えるコスパの良さ……!(でもまあ、とりあえず第1話だけならニコ動が早そう。http://www.nicovideo.jp/watch/1405499565

*2:昨今は新人アイドル声優が作品内同様にユニットを組みコンサートを行うケースもあり、その場合は作品内のキャラクターたちとのリアルタイム感も増すのかも知れない。何を隠そう本作品でも主人公らのキャストはユニット活動を行っている。

*3:追記:第50話試聴後に思ったのだけれど、ガァララと「ふたりぼっち」で世界旅行に出かけたかったパックにこの歌詞をぶつけるの、めちゃくちゃチャレンジングだな……。

*4:追記:第41話「しゅうかとガァララ」第42話「ダィア・マイ・トモダチ!」を見たらそんなことは全て解決するので絶対見てほしい。何事も即実現できると豪語したしゅうかでも迷うことはあるし、一方でガァララにとってはしゅうかが希望になったのだ。

星に名前をつける

イエーイNEWS担何してる?グリーンマイルかな?全滅したので当日券を狙うよイエーイ ところで新曲が出ないねイエーイ

こう穏やかな時間が続くと他のものにお金使わずにはいられなくなる性質なので、夏休み色々満喫して大変楽しく少し虚しい。NEWSはやばいのでいつも希望を叶えた上で200%サイコーなものを出してくれるのですが、流石にそんな経験は得難いから……。

さて、二次畑が長かったので、ジャニヲタ化するや否やアイドルものが俄然気になり、先日もTHE IDOLM@STER SideMのJupiter編で胸を熱くしていたりなんかしたのですが、一番ガチなのはあんスタです、どうも絶賛推しイベ中です。

と、いうことで今回はソシャゲあんさんぶるスターズ!の話をします。書いている人はKnightsPですご留意ください。

 

「少年漫画」はお嫌いですか?

まず簡単にダイマ。というか、あんスタのここがアイドルもののゲームとして好きなんだというポイントから。

あんさんぶるスターズ!」(以下あんスタ)は、私立夢ノ咲学院に通う37人*1の個性豊かなアイドル課の男子生徒たちを、唯一の女子生徒、唯一のプロデュース課の生徒である「転校生」こと「あんず」として支えていく物語である。

と書くと乙女ゲームかな?と思われるかも知れないけれど、あんスタは少しそれとは異なっていて、「少年漫画」*2の要素がかなり強い。あんスタというゲームのメインコンテンツはボリュームのあるストーリーなのだが、そこで繰り広げられるのは血沸き肉躍る、なんていうか……戦争?の模様なのだ。

ちゃんと書くと、メインストーリーでは「生徒会による絶対王政を、主人公Trickstarが革命によって民主化する」というストーリーが描かれている(この部分は実はメインライター・日日日さんによる公式ノベライズの方が充実しているので、是非そちらを手に取ってみていただきたい)。ただこの生徒会も私利私欲のために動く悪役ではなくて、長年の芸能界との癒着によって腐敗しきり、個人の才能に依存していた夢ノ咲学院を、強固な競争システムによって立て直そうとする、という立場なんですね。そして以降3年間に渡って配信されてきたイベントストーリーでは、時に町でライブしたり学院祭で演劇をやったり海ではしゃいだり体育祭で借り物競争をしたり、ひたすら可愛い回もあるのだけれど、とてつもなく重苦しい政治や才能やバックグラウンドにまつわる物語が展開し続けていて、この闇がね、めっちゃ居心地が良い。光は闇の中でしか見いだせない教だから……。

そもそも私はミステリが好きで、何だかんだ二次元を好むようになってからも「好きな雑誌はジャンプSQ.」て育ち方をしているんですよ。美麗な絵柄、厨二心を満足させる設定、ダークながら少年漫画らしさを意識したストーリー、的な。あんスタはめちゃくちゃ実家の味がする。神話の見立て、言葉遊びも多くて考察欲が煽られる。

勿論好きなキャラ、ユニットを推す楽しみもあるし、乙女ゲーム的なキャラとの触れ合いも多少フォローされている。ただどうしてもストーリーラインががっちりある作品なので、ノベルゲー的というか、攻略要素は少ない。プレイヤーに任されているのは「レベル上げ・イベントポイント稼ぎのために画面を無限にタップする」ことだけなので……(一方で「あんず」とプレイヤーが乖離しきらないところが絶妙なバランスなんですよ)。

あと、向こうは卵とはいえ鍛錬を積んだアイドルでこちらは素人だし、お互いに目の前の仕事にいっぱいいっぱいなので、完全なプロデューサーでもファンでも彼女でもなく、後輩/同級生/先輩且つ仕事仲間、の関係性がしっくり来るかなという感じはする。もっと言ってしまえば、二次創作でよくある「モブ視点」的な。夢小説でも完全なモブでもなく、人格があるタイプのモブ。クラスメイトとかご近所さんとかコンビニの店員として、キャラたちの秘密を目撃してしまう一般人。解釈が分かれるところかも知れないけれど、私は「あんず」は今後も特定のキャラ・ユニットの専属、「○人目のメンバー」というか、アイドルに依存した立場にはならないと思うんですよね。学院の改革の一助としてプロデュース課の設置が決まり、「あんず」にも夢ノ咲学院、ひいては芸能界を改革してくれと期待がかけられ、実際日々鍛錬をこなしているわけで、彼女も一人の戦士なんですよ。

Trickstarのプロデュースをするところから物語が始まり、以降様々な依頼に答えていくのだけれど、「あんず」が関係しない仕事の話もあるし、例えば生徒会メンバーも所属するfineなんかは専属のスタッフを抱えているので、「自分が企画しないドリフェスを見て勉強するのもいいだろう」と招待されるに留まったりする。今開催中のイベント「フルール・ド・リス」でも、「あんず」にプロデュースを依頼しようとするが、あまりに多忙なので取りやめる、というエピソードが出てくる。キャラたちもそうなんですが、めちゃくちゃ自立している……。あんスタでは今のところ「あんず」が2年生の1年間を繰り返し描かれているので未来のことは明かされていないが、卒業式の後門の前で「達者でな……!」と思い思いの方向へ歩き出すイメージがある。

いや画期的、女オタクの最適解だと思っている。この方法を取ることによって、「あんず」転入以前の過去のエピソードや「あんず」の与り知らぬエピソードを、部屋の壁や天井や地面になって聞けるんですよ。一方「あんず」=プレイヤーがアイドルたちと交流しているという、同一化も妨げず。キャラたちからの呼びかけがない限り「あんず」がその場にいるか分からないのだけれど、ずっと部屋の外で立ち聞きしていて、呼びかけによって入室する、みたいな感覚ですね。

ちなみに作品内でキャラと恋愛のレベルまで親密になることはほぼないんですが、「キャラ+あんず」的な楽しみはめちゃくちゃあります。例えば私は瀬名泉さん(Knights)というキャラクターを推しているんですけど、彼の執心している遊木真くん(Trickstar)に近付いたことで、初め敵対視されているんですね。それはもう姑のようにいびり倒されるんですが、元来世話好きな性格なので、料理とか教えてくれて*3、先日はペアを組んで料理コンテストに出場しました。*4

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泉さんは上下関係にも厳しいので、厳しく鍛える先輩/食らいついていく後輩という関係性に。

守沢千秋(流星隊)の「お前は彼女じゃないけどな」も、「お前の彼氏になる人は幸せ者だな」的な、先輩であり「ヒーロー」である自分はそんな勘違いしないけれど、ありがとう、という大変味わい深い、レモンの味のする台詞なんですよ……。

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この辺りに関しては、参考文献として『ユリイカ』2017年2月号を挙げておきます。

 

では肝心のキャラクターですが、これを見てみよう!

キャラクター | あんさんぶるスターズ!

公式HPがちょっと見ない間にめちゃくちゃ充実している……。

あんスタの醍醐味と言えば、意外な交流!(ジャニーズもそうですけどね~~~!)まずは所属ユニット別に表示させてみてカラーを掴んでほしいのですが、下にスクロールして「関連性のあるキャラクター」をご覧ください。クラス、部活動、委員会、幼馴染などなど何通りにも人間関係が楽しめるのです。イベントでも基本はユニット毎のアイドル活動にまつわるストーリーが展開されている一方、スカウト(ガチャです)では部活動のエピソードが補完されたりとサービスしてくれる。クラスメイトが部活の先輩に話を通してくれたり、部活仲間とライブで対戦したり、学園もので良かった~~~!

私の推しとしてはですね、紅茶部は「皇帝」こと生徒会長・天祥院英智(3年 fine)と、その敵の弟で吸血鬼・朔間凛月(2年 Knights)と、清貧かわいいうさぎさん・紫之創(1年 Ra*bits)で構成されている、紅茶を飲んでお喋りする部活なんですけど、御曹司の天祥院先輩と苦学生の創くんが一緒に紅茶を嗜むことなど、こういう機会がなければ見られない……でも現実には女子校さながらのエレガント可愛い、そこに少しのスパイスなお茶会が繰り広げられていて……妄想かな?

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演劇部も本当に最高で、何事も「普通」な真白友也くん(1年 Ra*bits)は元々アイドルが好きで中学生の頃から夢ノ咲学院のライブに足を運んでいて、そこで見た演劇部の超美人に憧れて入部するものの、それは実は男でしかも女装を迫ってくる変態仮面だった……平穏な学園生活よさらば!てところから始まり、いつも王子様役を任されるクールな氷鷹北斗先輩(2年 Trickstar)と演劇の研鑽を積み、エンターテイナーとして非凡な才能を持つ変態仮面こと日々樹渉部長(3年 fine)を何だかんだ尊敬している一方才能問題でこじらせたりと、部活動の方もめちゃめちゃアツいんですよ……。

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あんスタ推しGシート

で、こちらは私の推しKnights!

「優美かつ華麗な騎士道ユニット」の名に恥じず、皆顔が綺麗……。良くも悪くも「個人主義」だったのが、段々それぞれの個性を活かしつつもホームとしてKnightsがある、という様に変化していくんですけど、まあNEWSですよね(主観です)。公式で「ファンサが手厚い」設定もあり、職業アイドルとしてファンのことをお姫さま扱いしてくれるんですよ……まあNEWSですよね……(主観です)。

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あんスタは先に述べた通り、学院改革やそれぞれのこじらせた事情の解決、そこまで行かなくともアイドルとして何をステップアップさせたいか、ユニットとしてどう仕事をするか、といった部分をストーリーとして読むのが主眼なので、ライブシーンに関しては音楽もないしモノローグで繋ぐんですが、メンバーのパフォーマンスに煽られたり、自分たちの感慨を語ることに終始しがちなんですね。Knightsは観客を意識してくれるので好きです……。(先日はあまりにKnightsのライブに行きた過ぎて、舞台のライビュに行った。Knights5人の立ち姿だけで麗しくて最高だった。)

多分モデルの2人を始めとして、「他者から見られている」意識がある人物の物語が私は大好きなんですよ。その上で自らこうありたい、こう見せたい、と下した選択ほど尊いものはない……自己プロデュースが好き……。

あとKnightsは衣装が最高。一番思い入れがあるのは先にも貼ったクリスマスのときのものなんですけど、布が高そうで良い。どれも優美且つ華麗な騎士風のデザインなので、冬の大型歌番組にぴったり!

メンバーはこんな感じ。髪色で見分けられます!!!て書こうとしたけど、二次元大体そうだったわ。

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リーダーの月永レオ(3年)。2年生のときに天祥院英智に心を折られたので、二学期まで不登校。天才作曲家で、既に覆面作家でプロとして活動。

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リーダー代理の瀬名泉(3年)。モデル。プロ意識が高いがゆえに刺々しいが、世話好き。美しいゆうくんが好き!過ぎて監禁する。

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朔間凛月(2年 留年している)。吸血鬼なので昼間は寝ているがスキルはある。ピアノが弾ける。幼馴染で眷属(かぞく)のま~くんが好き!

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鳴上嵐(2年)。モデル。心は乙女。椚先生にラブ。

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朱桜司(1年)。Knightsの「騎士道精神」に感銘を受けて入ってきた御曹司。英語の発音が良い。

Knightsの基本的な流れをまとめると、

  • 4月に革命中泉さんがゆうくん(Trickstarの遊木真のこと。キッズモデル仲間で、「お兄ちゃん」と呼ばせようとしている)を保護監禁、謹慎処分に
  • 一学期の間はアイドル以外の活動で好感度を上げる
  • 二学期、リーダーのレオが帰還、一悶着ある
  • クリスマスにはプレゼント交換をするくらい和気藹々としたKnightsに

プラスして前年度の闇ストーリーが配信されている状況なんですが、まず泉さん!

彼は幼いころからモデル業をしているのでめちゃくちゃ意識が高いんですが、英智「よく鍛えられてるけれど、凡庸な無名の剣でしかない」と評されているところがめちゃくちゃ刺さる。

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この台詞が出た、前年度の闇ストーリーこと「追憶*モノクロのチェックメイト」は、絶対王政の確立のためにKnights、というかレオが利用される話なんですが、腐敗しきった夢ノ咲学院には「五奇人」と呼ばれる天才が君臨する一方、その他大勢はやる気のないアイドルもどきでしかない。その中で瀬名泉は腐らず地道に努力を重ねているけれども、自分が天才ではないことぐらい分かっているんですよ……。

でもレオはそんな泉に対して、お前を見ていると無限に霊感(インスピレーション)が湧くって肯定してくれる。あんスタは孤独を分かち合う関係を描くのがめちゃに上手くて、レオもずっと一人で頑張ってきた泉に、「たまに疲れたときに、背中を預けられるやつがいてもいいじゃん」て言うのだ。レオはレオで作曲しか自分に価値がないと思い込んでいて、作曲で奉仕することでしか自己肯定できない難儀な子なんですけどね!

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しかし最終的に人々の悪意に染まってレオは精神を病み、二人の青春は終わりを告げるのだけど、ここからが本編なわけですよ*5。他の三年生も大体そうなんですが、高校三年生にして青春が終わってるってめっちゃやばくない?戦乱の時代に青春を使い果たしてしまっているので……もう社会を知っている……でも考えてみるとアイドルてそういう職業なんですよね。その決意とプライドに乾杯。

レオについてはもう結構触れてしまったけれど、復学後暫くは、自らの手でKnightsを終わらせようと「ジャッジメント」(内部紛争を解決するための対戦式ライブ)を行ったり、裏方に徹しようとしたり、現在のKnightsのリーダーであることに居心地悪そうにしているのが、クリスマス頃には変わってきてリーダーらしい先輩らしいことをするようになるのがなるほどな~~~という感じ。その辺まだ補足が来そうなのでふわっとさせておきますが、ジャッジメントで司に「あなたには、まだ教えてもらいたいことが山ほどあります」と殴られ*6、「親の庇護って必要だなって」思うようになるの*7ユニットが本当の意味でユニットになる瞬間なんですよね……。Knightsもレオと泉以外は成り行きで加入した面子なので、4月の時点ではそれぞれの才能は認め合っているけれど、それだけなんですよね。お互いにメンバーとしての必然性を感じられるようになってからが強い。

凛月は……「吸血鬼」て何だよって思われるのは至極当然で、私も何だよって思ってます。とりあえず日差しに弱いのはマジ。日向の世界に引っ張り出してくれた幼馴染のま~くん(Trickstarの衣更真緒のこと)への愛で生きている。凛月を溺愛する天才の兄がいて色々あるんですが今回はそれは割愛。凛月がずるいのは、甘えたがりで寝てばかりに見えて、Knightsの参謀であり、日が沈んでからしか発揮されないけれど実力は高いところ。これもまだどうなるか分からないんですが、何だかんだアイドルの素養はあって、段々アイドルとしての朔間凛月が出来上がってくるんですよ。4月時点ではべたべたに依存しあっていた凛月と真緒が次第に相手から自立し、今イベでは真緒が来られなくなってしまっても全力のパフォーマンスを見せていて、多分未来では適度な距離感に落ち着く。それは凛月にも守るべきものができたからで、言ってしまえば仕事が楽しくなってきたからなんですよね。実は、一般人が職業アイドルの顔になっていくのを見る楽しみがあるのは凛月なんじゃないかと思う。

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鳴ちゃんは今後補完が来る!はず!具体的には昨年のクリスマス、あんスタ闇事件簿が更新されてしまった「アタシのことを世界でいちばん綺麗だよ、大好きだよって言ってくれたひとが……アタシに何の相談もしないまま、夢破れて自殺しちゃった話」について……(※夢ノ咲学院には慰霊碑があります)。まだどこか飄々としている、椚先生大好き皆のお姉ちゃんの顔しか明かされていないんですが、鳴ちゃんを救済したい。ライブになると結構好戦的なところが好きです。

ラスト、末っ子の司くんは御曹司なので、「優美かつ華麗な騎士道ユニット」という肩書に誰よりも固執するんですが、まだまだ1年生らしいところがあるのが可愛い。甘いものに目がなかったり、同じく御曹司のクラスメイト・姫宮桃李くん(fine)と張り合ったり。どうかそのまま伸び伸び育ってほしい。そしてレオや泉とあれだけ禍根を残した天祥院英智を「天祥院のお兄さま」と呼び慕っているのがあんスタの面白さ。

 

転入案内

まあまずはダウンロードしてみてほしいのですが、ゲームシステムを補足。

あんスタでは半月に一度イベントと限定スカウトが実施されており、イベントポイントを貯めたりスカウトでストーリー付のカードを引くことで、新しいストーリーを読めるというシステムになっている。無課金でもストーリー回収は余裕があるくらいの感じ。イベントの合間に過去のイベントを進めることができたり、現在は過去の限定スカウトが復刻していて目当てのカードを引きやすい状況にあるので、気になる過去ストーリーを読むチャンスも用意されております。で、イベントを有利に進めたりストーリー付きカードのストーリーを開放するために育成が必要で、何をするかと言えば無限タップ……。

無限タップ。実際私の友人も「動物実験みたい」と言って長らく手を出してくれなかったんですが、見方を変えれば片手間にできるのは圧倒的アドバンテージなので……リズム感も戦略を練る必要もないし、TVを見ながら、ご飯を食べながら、講義中、etc.で終わるので……慣れよう!

年間通して季節に合わせたイベントが開催されており現在58期なんですが、外せないな~~~!と思ったものを紹介。ただ年度末に近付くにつれ仲が深まっていくので、最初に三学期のストーリーを読むのは勿体ないかも。でも私は三学期めっちゃ好き。システムが整備されてきて、嘗ては非公式だった対戦形式に限定されない、自由なドリフェス(ライブのことです)がどんどん開催されるようになり、キャラたちの変化も感じられる。一学期のぎすぎすした感じも良いんですけどね!

それと、今年から『キセキ』シリーズと題して、革命を成し遂げたTrickstarが年末の大規模ドリフェスで対戦する他校の精鋭との色々を扱ったイベントが配信されていまして、第2弾がじき開催です!EveとAdam、合体するとEdenとかいうやばい名前のユニットが登場してます!特大の闇が来ると身構えていたら第1弾のEveはほっこり終わって安心!Adamは早くも「博愛主義者」とあるのに「……その子たちのこと、壊しちゃったらごめんねって」などと宣う見た目ヒールな人と、「ー我らの輝かしい未来のために!突撃!侵略!制覇!」と演説していらっしゃる学生実業家がお出ましているので今度こそ闇かも知れない!震えて待とう!

メインストーリーは全部読まなくても、何となく世界観が掴めたら大丈夫。気になるなら公式ノベライズを読もう(ごり押し)。その上でストーリーの根幹に関わってくるのは、まず新キャラ投入イベント。

  • 「反逆!王の騎行」
  • 「追憶*マリオネットの糸の先」
  • 「追憶*集いし三人の魔法使い」

これに限らず「追憶」とついているものは前年度の闇ストーリーなので、ある程度キャラのことが分かってからの方が面白いかもだけど、推しにかかわらずいずれ絶対読んでくれ……!あんスタの地獄を体験してくれ!!!

手始めにおすすめなのはこの辺り。

  • 「追憶*初待ち桜と出会いの夜」Trickstar結成秘話 目立った地獄はないが、孤独がこれでもかと描かれる。あんスタのアイドル観がよく出ているので大変おすすめ
  • 「ジャッジ!白と黒のデュエル」Trickstar V.S. Knights Knightsが気になるならまずはこれ
  • 「宵の闇♪バンドアンサンブル」Trickstar&UNDEAD 先述した凛月と真緒のエピソードはここ
  • 「対決!華麗なる怪盗VS探偵団」Ra*bits&Knights 先述した友也くんと日々樹渉のエピソードはここ
  • スクランブル*夢の中のトイランド」fine&2wink ユニコーン桃李が可愛い
  • 「彩光!瞬きの星夜祭」各ユニットの3年生と1年生が選抜されてイブを祝うよ 交流を見る楽しみがある
  • 「迷い星*揺れる光、プレアデスの夜」Switch&Trickstar 占い師としての活動が忙しくなってきた夏目くんが将来について考える話。Switchのライブ中に「私の悩みを聞いてください!」って言い始める占い師・逆先夏目のファンのパンチが強い
  • 「ドロップ*遠い海とアクアリウム海洋生物部 学院でも「五奇人」として羨望のち迫害され、家庭でも生き神様として扱われてきた深海奏汰くん(流星隊)が人間になる話。チャラ男の羽風薫くん(UNDEAD)のイヤモニがクラゲだったことは記憶に新しい

結構偏りがあるんですが、ストーリーとして入りやすく少しフックがあるやつで。流星隊が気になるなら箱イベの「爆誕☆五色のスーパーノヴァ」かな。(私が読めてないのでアレなんですけど、「決別!思い出と喧嘩祭」(紅月&fine)も評判良いです……)

スカウトはね、あんスタは限定スカウトにおける限定カードの排出率が良心的なので、マジで気になる子は復刻スカウトしよう!!!流星隊編が終わってしまったのでいくつかのスカウトは復刻終了なんですが、まだまだあるよ~~~まあ顔で選ぶのが一番なんですけど、「エキセントリック」は凄かった。嘗て生徒会に「排除すべき旧時代の怪物」として羨望のち迫害された「五奇人」たちが時を経て忘年会する話なんですけど、妄想かよって感じ。例えるなら一昨年の「V6の20thコンサート後にJr.黄金期メンバーがV6縛りのカラオケした」並みの妄想度。なぜか3Aのクラスメイトでゲーセンに行った「荒野のガンマン」も、実はクラス縛りのストーリーはこれくらいなので大変ありがたかった。

ちなみに無理矢理決めるなら私的優勝はこれかな!!!

ゲーム外では、あんスタはアニメが決まっておりまして(放送延期だけど)、舞台も上演されていたりするわけなんですけど、まずはキャラソンでしょう!ユニット毎にリリースされ現在3周目。今回の第3弾の推しどころはイベントストーリーに沿った楽曲が収録されている点ですね。先ほどリンクを貼ったKnightsの場合、トラック2「Knights the Phantom Thief」は怪盗イベ、トラック3「Crush of Judgment」はジャッジメント時のもの。あんスタはどうしてもライブシーンの描写が希薄でめっちゃ飢えるので、こういうのは良い。

あと大好きなところ、コラボの意味が分からないところ。突然の叶姉妹、突然のブルゾンちえみ(今ならログインボーナスでwithB風カードがもらえるよ)、突然の大川ぶくぶ先生……。「推し変のススメ!新しいガムプレゼントキャンペーン」とかやっていて、真面目に天才だと思う。

 

と、ここまであちこち話が飛びながらあんスタに勧誘してきたわけですが、どうでしょう、転入する気にはなられたでしょうか。

ソシャゲってサービス終了したら後からその全てを楽しむことは難しいし、例えばこの濃密なイベントストーリーに関しても何らかの書籍の形で保存できる保証はないわけですよ。その意味では、あんスタが配信されている時空に生きる奇跡を是非大事にして、ちょっと覗いてみてほしいな~~~と思います。よろしく!!!

 

 

粗方語り尽くしたので最後にしんどいくらい最高だなと思ったあんスタのアイドル観。関係性を星で表すリリックは世間に溢れておりあんスタの中にも散りばめられているのだけれど、なるほど……てなったやつ。

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そして月永レオと瀬名泉で〆ますが、「太陽と月」もよくあるけれど、二人は「月と月」なんですよ……。相手のことを「月」だと褒めるのって、自分だけはお前の素晴らしさを分かっているよ、てことだと思うの。瀬名泉のスマホカバーが月の柄だったときもめちゃくちゃしんどかった。青春は終わったとしても、嘗て確かにあったということは消えないのです……。

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*1:2017年10月現在

*2:ちなみに公式にも「少年漫画の方に近い感じ」と明言されている。

『あんさんぶるスターズ!』女だらけの開発者座談会!? キャラ制作秘話&裏話がてんこ盛り! - 電撃App

*3:キャラクター別ストーリー「料理は愛憎」

*4:「スカウト!クッキング」

*5:詳しくは公式ノベライズ第3巻収録「Lionheart」をご覧ください。

*6:「反逆!王の騎行」

*7:「スカウト!ロビンフッド

王子様の罪

暑い。ので、何だかんだ夏の現場運がないこともあり家でだらだら過ごす予定です。いやワクワク学校とここさけ試写会が当たっちゃったんですよね……その代わりコンサート運が犠牲になったんだと思う……。なんてナチュラルにSexy Zoneを推したり、アイスショーで生のソツコワ選手を拝んだりして楽しく過ごしているのですが、如何せんね、NEWSの新曲が出ないね!シゲアキ担の妹と暮らしているので実感がないけれども、まあ出ないね!ただ会報見てNEVERLANDオープニングのポンチョの写りに驚いたり、装苑が凄そうという噂を聞いて、最高だな……という思いを日々新たにしているので全然大丈夫です。本当にまだ大丈夫です。

と、いうことで実写版「心が叫びたがってるんだ。感想。やっとアニメ版*1も観たので比較しつつ、ケンティーは最高!て話をします。以下ネタバレ注意。

 

アイドル王子様論

そもそもここさけは2015年に劇場アニメとして公開されたざっくり言うと青春映画で、あの花と同じチームの制作である。この度実写化されるに当たっては「≪最高の失恋≫は、あなたをきっと強くする」というキャッチコピーが付けられ、秩父の自然の美しさ、透明感をそのままに生かした、丁寧な作りの作品に仕上がっている。

基本的には原作のアニメ版に忠実なのだが、一点大きな差異がある。あらすじを実写版とアニメ版両方から引いてみよう。

高校3年の坂上拓実は、「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されてしまう。

一緒に任命されたのは、おしゃべりが出来ない少女・成瀬順。
彼女は幼い頃、自分の一言で、両親が離婚してしまい、それ以来誰にも心を開かなくなっていた。
その他、優等生の仁藤菜月、野球部の元エース田崎大樹が選ばれた。
実は拓実と菜月は元恋人で、2人は自然消滅した後、お互いに気持ちは確認できずにいた。
担任の思惑で、"ふれ交"の出し物がミュージカルに決定。
「ミュージカルは奇跡が起こる」という一言に、勇気を出した順は詞を書くことを決意し、さらに主役に立候補する。
そんな彼女の姿に感化された拓実が曲をつけることに。
順は拓実の優しさに好意を寄せるようになり、菜月は自分の想いを諦め、そして夢を追う順の姿に大樹は好意を寄せ始める。
目の前の人に好きと言えず、すれ違う4人。
そして、舞台当日「やっぱり歌えない」と順は消えてしまい、拓実は順を探しに行く。
しかし、舞台は、主役不在のまま幕をあける……*2

幼い頃、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。

そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。
高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。*3

前者が実写版、後者がアニメ版で、明らかに主人公が順から拓実に移っていることが分かる。実際は実写版アニメ版共に、視点が一人に固定されているわけではない、所謂群像劇なので、アニメ版から見た人が順の視点に立って見ても違和感を覚えることもなさそう。というか実写版がより三人称的だから相対的にそう見える、というレベルだと思う(実写版にも順単体のキービジュアルが制作されている)。実写版から見る人は、「主演・中島健人」と銘打たれていることもあり、自然に拓実の視点に立つだろう。私はアニメ版の順単体のキービジュアルの印象が強かったので引っかかりを覚えていたものの、いざ映画が始まると完全に拓実視点で物語を追っていた。

このことによる効果は後で考えるとして、先にストーリーについて補足しておく。幼い頃順は山の上のお城(ラブホテル)から父親が知らない女性と出てくるところを見てしまい、お父さんは王子様だったのだと母親に喋ってしまったことで両親が離婚した。ミュージカルでは、お城の舞踏会に行きたい女の子が、舞踏会は実は罪人の処刑場なのだと知り、それでもお城に行きたいと犯罪を重ねた結果、「言葉で他人を傷つける」罪で言葉を失ってしまう。ここまでは順の体験と重ね合わされているが、ふれ交の活動を通して順は、王子様と出会った少女の中に愛の言葉が生まれ、王子様を庇って冤罪で処刑された少女の首から愛の言葉が溢れ出す、というラストシーンを考える。だが最終的に、少女の気持ちを知った王子様が人々を説得してくれてハッピーエンド、というものに変更するのである。

このとき、アニメ版では「私こそ何も見ていなかった。とても尊く幸せな言葉をもらった少女は、しかし、王子の悲しみには気付いていなかったのです。少女は王子様に、どんな言葉をあげられる?」とモノローグが入る。そう、アニメ版には順のモノローグや、玉子と対話するシーンがあるのだ。

実写版ではそれらのシーンは削られており、順が拓実に恋心を抱いていることは公演前日まで直接言及されることはない。二人きりになろうとする拓実と菜月を気にする順の様子から、なるほど舞台成功と同時に恋愛も成就してしまうのか~と意識した*4次の瞬間、順は二人がよりを戻すところを目撃してしまい、ショックから歌えなくなってしまう。更に、実写版ではよりを戻す時点ではっきり「ずっと仁藤が好きだ」と告白するのだが、アニメ版では「俺、後悔してた、あんとき。仁藤が手を伸ばしてくれようとしたこと、分かってたのに、自分からは何もしなかったこと。だから、成瀬が頑張ってんの見て、俺、俺も今度はって」で止まっていて、本音を言う勇気が出せなかった自分を恥じる菜月は「ごめん、今は聞きたくない」と拓実に告白させない。アニメ版ではそのまま走り去る順を追いかけ、再び玉子に呪いをかけられるシーンが入る。しかし実写版では、気持ちの通じ合った拓実と菜月側にカメラが残り、順の絶望は翌日判明する。つまり実写版は、視点の変更を通じて鈍感という拓実の罪を強調していると言えるだろう。拓実の視点からは常に二人の女子が見えているので、菜月を選ぶことも腑に落ちやすい。

― 拓実は、女の子の気持ちになかなか気づかない鈍感なタイプですが、そんな失恋を経た中島さんから見て、拓実の男としてのダメな部分や、もっとこうしたらいいのに!と思う部分はありますか?

中島:いや、僕も実際こういう人間だったんですよ。結構鈍感だった。今も鈍感なのかもしれないですけど、過去に、自分の好きな人にはあまり接することが出来なくて、でも最高の友達だと思っている子には濃く接してしまったことがあったんです。その濃く接した女友達は僕に好意を抱いてくれたのですが、自分はそういうつもりじゃなくて…。

― 可哀想…(笑)。

中島:だからそこが、僕の最大の罪。*5

 

坂上拓実は鈍感である。だからこそ、失踪した順をラブホテル跡で発見、説得する誠実さが響いてくる。この誠実さは、紛れもなく王子様の責任の取り方である。

拓実は順の王子様である。アニメ版では3度玉子にヒビが入る演出があり、1度目は拓実のアドバイスで歌なら歌えるのだと気付いたとき、2度目は「成瀬はちゃんと頑張ってるんです」と拓実が母親から庇ってくれたとき、3度目は拓実がハッピーエンドに変えることになったラストシーンに、悲痛な印象もある前のバージョンも一緒に組み込もうと提案してくれたときである。2度目のときは王子様が少女に「とても尊い、幸せな言葉」をくれたと、3度目のときは「私の、王子様」とモノローグが入る。

順は離婚のトラウマから、自分は罰を受けるべきだと呪いをかけており、拓実はこの呪いを解いてくれる救世主である。拓実は救世主にはなってくれるが、恋人にはならない。先にハッピーエンドに結末を変えたのは王子様=拓実のトラウマを癒すためなのだと話すモノローグ部分を引用したが、これは恋人関係になることで双方のトラウマが癒される物語である。元のラストシーンだと、少女が勝手に救済されて勝手にトラウマを克服する物語になる。トラウマを癒してくれた人と恋に落ちる、という物語は典型的な少女漫画の論理であるし、今回もそうであっても不自然ではないのだが、拓実は後者の救済の物語を活かそうとする。

救世主にはなってくれるが、恋人にはならない。そのようなあり方を「王子様」と呼ぶのは極めて正しく思われる。アニメ版ではモノローグによって繰り返される拓実=王子様の図式が、実写版ではモノローグがなくても観客に理解されている。中島健人が王子様だからだ。

アイドルに何を求めるかは人それぞれだが、私の理想のアイドル像は、恋人ではなく救世主寄りである。実際交際してくれると言われたら喜んでついていくだろうが(笑)、冷静な今の頭では仕事の顔が好きで応援しているのだから、恋人関係になってしまったら本末転倒だなあと思う。だから「アイドルだから一人の子と付き合うのは無理」と振られたい。最高の失恋。ケンティーは仕事人間だから絶対そういう振り方をしてくれる、いやしてほしい。恋人になってしまったら、もはや王子様ではいられないのである。

失踪した順の代わりに菜月が少女役を演じたため、順が戻ってきた後舞台上には少女が二人存在することになる。ラストシーンは勝手に救済される物語を歌う「悲愴」と、恋人関係になる物語を歌うOver the Rainbowを同時に歌う演出だが、順が「悲愴」パートを歌い、菜月が「Over the Rainbow」パートを歌うというのも順当である(王子様=拓実は「Over the Rainbow」を歌う)。より正確に言うならば、アニメ版では少女役(菜月)と少女の心の声役(順)として少女が分裂したかのような演出になっているのだが、実写版では菜月は元の草花の精の役に戻っている。菜月にとって拓実は王子様ではなく恋人なのだから、「お姫様」を演じる必要はない。モノローグのない実写版でも、拓実を順にとっての王子様に見せる仕掛けがそこここに存在すると言える。

実は、初見の感想は「おたくが救われる話の類型じゃん」だった。根暗おたくが分け隔てなく接され、何らかのスキルを褒められ、心を開いていくパターンである。順の場合はミュージカルの脚本を褒められることが自己肯定感に繋がっていく。恋人がいなくても生きていくことはできるが、救世主がいなかったら人生どうなっていたか分からない。トラウマの克服と恋愛が、結びつかないけれどもプラスの方向に発展するという描かれ方は、私にとっては新鮮であると同時に大変納得のいくものだ。

 

 

監督に最初に会ったときに、『今の中島健人に拓実の要素を足すべきなのか、今の中島健人からいらないものを引いていくのか、これは作品に入る前に考えておいてね』って言われたんです。それで、どっちだろうなって悩んだんですけど、やっていくうちに引いていくほうだなって感じて」*6

かっこよく見えないように注意したという話。噓じゃん!!!て思いましたね。いくら歩き方に気を付けても内面のあり方が王子様だから……。

「物静かな部分だったり、本音を言わないところは、ひと昔前の自分に似ているなって思います。この役に関しては、ジャニーズに入る前の記憶に助けを求めた感じです。自分の中学時代って、友だちも多くなかったし、まわりと人間関係がうまくつくれなかったんです。気持ちを伝えられなかったり、逆に伝えすぎたこともあった。言葉の温度の調節って、ものすごく大変なんだなって感じていました」*7

最初に引用したインタビュー記事もそうだが、今回「ジャニーズに入る前の自分」の話を何度かしている。何のことはない、かっこつけなくて物静かで本音を言わなくても、王子様の素質があったってことでは……。最高じゃん……。

まとめると、根がハイカーストではないので救世主に救われたい願望があるし、アイドルには振られたい。アイドルにならなくても爆モテだった人が、アイドルになることをを選んで「王子様」を引き受ける道に入る尊さに感謝したい。そういった様々な欲求を満たしてくれた大満足の一本でしたね……。私の世界も美しいです。

そしてケンティーもそうだけれど、キャスティングが良いの一言に尽きる。順役の芳根京子ちゃんの透明感、菜月役の石井杏奈ちゃんの等身大の優等生感、鋭いナイフのような寛一郎くんのピュアさ、役にはまっていると同時に、一人の俳優さんとして今後も出演作をチェックしたい。

と、いうわけで良作でした。万人受けするかは分からないけれども、若手俳優による(恋愛)青春映画、というだけで敬遠しないでほしいぞ。以上!

*1:29日にTV放送するらしいのでまだの方は是非!

*2:実写版公式HPより

*3:アニメ版公式HPより

*4:「最高の失恋」なのは予め提示されてるのだけれども

*5:<Sexy Zone中島健人インタビュー>「ここさけ」実写化で“最大の罪”が明らかに?言葉、そして“夢”と向き合う―「絶対にブレることはない」 - モデルプレス

*6:CUT 2017年7月号p36

*7:ピクトアップ 2017年8月号p78

NEVERLAND出入国記録

オーラスも終わったことだしNEVERLANDについて認めておこう、と白々しくも言う。本当は4月にアリーナver.を見たときから、いやアルバム発表時から何らか書けることがあったはずなのだ。しかし、まだ私の知らない設定があるのでは……と思うと中々着手できなかった。怠惰である。ブログ開設してから「次はこれ書きたいな~」で止まった記事群(てか3本)しかないことを見れば明らか。まとまった時間があるのでNEVERLANDについては今片付ける。(ちなみに『お兄ちゃん、ガチャ』感想ブログに関しては加筆・修正予定です。)

お題「NEWS「NEVERLAND」レビュー」 お借りします。

4人体制以降、NEWSにおいてアルバムとコンサートは不可分である。ので、NEVERLANDとは何だったのか、今更感はあるが各楽曲の内容にも言及しつつ、コンサートでの演出を振り返ろうと思う。
以下私が入ったのは仙台2日目1部と東京初日のみで、詳細にメモを取っていたわけでもなし、多分に主観的であることにご注意ください。
主観的と書いたのは、ネバーランドのエレメントの設定など、映画やアニメのように誰かが世界観をがっつり監修しているわけではないと思うので、なんというか深読みが起きているかも知れない。それに勿論メンバーも演出に大きく関わっているのは確かだろうけれども、スタッフさんの意見も沢山入っているだろうし、コンサートは生ものなので、こんな風にソリッドなものに対するように読解することには無理があると思うし、まあ妄想だと思ってもらえれば……という意味です。当たり前なんだけれどね。
ついでに、しかし、皆でわいわい盛り上がりたい!良さをもっと外部の人にも知ってもらいたい!という方には所謂ネタバレ禁止令は酷なのかも知れないけれど、コンセプチュアルで読解する楽しみを持つNEWSのコンサートに関しては、コンサート経験を個人的なものにしておく時間が良い効果をもたらすのではないか、具体的に言えばオーラス後に一気に濃い感想がまとまって流れてきて見やすくてありがたいし、こちらも先走らず書けるので合っているのかも、と今思った。 

NEVERLAND(通常盤)

NEVERLAND(通常盤)

 

ネバーランドの旅

復習。
今回アルバムのタイトルを「NEVERLAND」に決めたことについて、まず言及されていたのは「鍵」の問題である。

増田 グループの話し合いの時に、次のライブなのかグッズなのか特に定めず、「鍵」を作りたいって言ったんです。で、鍵というものにつながる何かができたらいいねっていう話をメンバーにしたら、みんな賛同してくれて。じゃあ具体的にどうするかとなった時に、「そこから見える世界」というアイデアが出てきた。何かに鍵をかけるということじゃなくて、その鍵によって大きな扉が開くイメージで。
加藤 鍵って、かけたり開けたりいろんな見せ方ができるものだけど、「今一番NEWSらしいのは開けるほうだろう」と。今回はまっすーのアイデアから広がったけれども、実は前作の『QUARTETTO』(16年)も前々作の『White』(15年)もすごくコンセプチュアルなんです。NEWSの作品がコンセプチュアルなのは、僕らの個性が強いというより、何にでも染まれるっていうのが大きいんだと思う。シングルでもインドをテーマにした『チュムチュム』、竹取物語を歌った『KAGUYA』。今回だと『EMMA』もそうだけど、どんなプロジェクトでもわりと乗っかれる。4人そろって思いっきりなりきれるっていうところは、僕らの強みでもあるなって。

日経エンタテイメント!2017年5月号p67)

長めに引用したのは、以前QUARTETTO感想ブログで、「NEWSは良い意味で非コンセプチュアル、未知数」だから雑多な楽曲群を雑多なままおいしく調理できるんだね、非常に好みの味です、みたいなことを書いて、つまりはQUARTETTOは非コンセプチュアルという認識だったのだけれど、言葉が甘かったなという自戒を込めて。あれだけ作り込んでおいてそんなわけがなかった。ナチュラルメイクがナチュラルでないのと同じだった。

アルバムを通して聴くと、「“The Grand Finale”」で「ネバーランドへの鍵=NEWSをずっと愛し続けるファンの心」という結論が出されている。だから、「NEWSをずっと愛し続けるファンの心」で「大きな扉が開く」ということを主題として捉えてみよう。

「“The Entrance”」の「目の前にあるこの時空の扉。これはあなたの旅のゴールでもあり、旅の始まりでもあります。」という文言に従えば、「大きな扉」を開け、「そこから見える世界」を旅した結果、また「大きな扉」に戻ってくる。今回のアルバムは「そこから見える世界」、即ちNEWSの見せるパフォーマンスをファンタジーとして描いている。初回盤では鍵穴をかたどり、招待状と鍵(物理)が封入されており、通常盤は「鍵穴を覗くとNEWSが見える」、すなわち「そこから見える世界」を可視化したデザイン、改めてよくできたジャケ写である。

初めてアルバムを聴いたときは、何しろ「U R not alone」のインパクトが強かったので、主人公を聴き手に設定し、割とストレートに解釈していた。アルバムを友人に説明したときの文章が残っていたのでそのまま載せる。

炎、水、光、踊、音、魔、愛。収録曲にはこれらのエレメントが散りばめられ、我々をネバーランドへと誘う。連想されるのは「ピーターパン」のようなメルヘンな世界観だが、今回の「ネバーランド」はそれとは異なっていることは、1曲目の最初の1音でお分かりいただけることだろう。ダークなリードトラックの威圧感は、完全に疲れた日常を生きる人々の首筋に打ち据えられた手刀である。私はネバーランドを精神治療の薬、治療中に見る夢だと思っているが、ネバーランドに行くためには初めにガツン!とショックが必要なのである。

(中略)

さて、トラック15「U R not alone」について触れておく必要がある。

この楽曲は大ヒット曲「weeeek」を作ったGReeeeNの提供で、ネバーランドを出て現実に戻ってからの曲であるというのがポイント。歌詞も他の収録曲とは違う直球の応援歌。シゲアキの言葉を借りるならば……「現実にだってファンタジーは起こりうる」。*1 むしろ出来そうもないと思っていたことを現実の中で成し遂げる、それこそが真のファンタジーなのだ。だからネバーランドには出口はない、終わらない。ネバーランドへの”鍵”はNEWSを好きでいること、なんて言っているのは本当にニクいが、要はエンターテイメントを愛することで、いつでも精神を治療して現実をサバイブする力、希望を手に入れて現実を変えていける。シンプルで現実的なメッセージが、しっかり世界観を作り込んで可愛くおしゃれに見せた上で、ちゃんと真っすぐ分かる仕掛け。これこそがNEWSの強み!!!

先に引用した日経エンタでの座談会でも、慶ちゃん「テーマパークのように、存在はいつもそこにあって、そこに行くために、また頑張ろうって思える場所。」と語っている。メンバーにとっては尚更直接的に、NEWSとファンと心通わせる場(例えばコンサート)を指しているのだろう。ファンの愛でコンサートが開催され、コンサートでは嫌なことを忘れてリフレッシュ、また明日から日常を頑張り、一年間頑張ったゴールとしてコンサートに行く。コンサートがない期間だってNEWSがついているから、きっとファンタジーが起こるよ。具体化してしまえばそういうことだ。

しかし鍵型のペンライト、大正解だったね!!!自動制御になったコンサートQUARTETTOでト音記号のペンライトを手動で点灯したときもそうだったと思うのだけれど、「NEWSをずっと愛し続けるファンの心」が一つ一つ灯っているような感じがして。今回は逆にNEWSからの「魔法」でペンライトが点いたとき、暗闇の中でNEWSを見つけ、心に希望が灯ったときのことを感じた。私にとっての希望はそのままNEWSを好きだという気持ちで、NEWSがいるから生きているんだな……と改めて自覚してしまった。*2あと黄色結構見やすい。心に女児を飼っているので普通にめちゃめちゃ好きなデザインではあったのだけれど、黄色ってどうなのよ的意見を散見し気になっていて、大きさもあるがデザインが見やすい色だなと思いましたよ。

自動制御が特徴的だったのはまず「NEVERLAND」の子供の笑い声が聞こえるところ、「♪……love」で照明がピンクになってペンラが灯ったところ。何らかの儀式のために集っているのでは、一生懸命ペンラ振って声出したら何か降臨するのでは、て神秘的さだった。*3逸れるけど、東京初日クールにキメるはずであろう「NEVERLAND」からまっすー笑みを抑えられていなかったので、op映像からもうずっと「かわいい!顔がかわいい!えーんかわいいよお」テンションだったのですが、ピンクの照明になっただけでちょっと驚くくらい辺りからわあっ……と感嘆の声が上がり、「アン・ドゥ・トロワ」のピンクの照明でもかわいい……が漏れていたので、皆そんな感じだったのかも知れない。私は今回ドーム天井席から全体を俯瞰することができ演出厨として幸いだったのだけれど、とにかく最後列まで開演前のNEWSコールが激しくて照明一つで興奮して、最高だけどこれファン溢れてるよ……!もうちょっと首都圏の公演数何とかならないかな~とも(笑)。

それともう1つ、シゲアキソロ「あやめ」!2回目のサビでリフターを駆け上ったあと、「♪knock knock open the door」て歌詞があるじゃないですか。不用意なことは言い辛いのだけれど、あのときアリーナで揺れている鍵ペンラがシゲアキの背中を押しているように見えて、はっとした。だってこれも「扉を開ける」である。では、「あやめ」は何の扉を開けるのか?

ネバーランドでは扉を開けることが2回ある。入るときと出るとき。そして実は、「旅のゴールでもあり、旅の始まりでもある」って、どっちがどっちなのか非常に曖昧な書き方である。それはテーマパークとしてのNEVERLAND内部も、現実も等しくネバーランドだから。であれば、NEVERLANDの中で描かれる「旅」とは何なのだろうか?

 

以下本当に妄想が激しいパートです。

またシゲアキのクラウドから引用。リード曲「NEVERLAND」のライナーノーツより。*4

RPGのサントラかよ!!!!!!!

でもそれはあながち間違ってない。

君はこの世界の主人公であり、この世界はすでに君のものなのだ。

単純に、扉を開けるという行為は、未知の世界に踏み出す、挑戦する行為である。であれば、ネバーランドの旅は自己改革の旅であり、冒険である。そんな成長譚としてNEVERLANDを語ることもできると思うのだ。コンサートの初め、「NEVERLAND」の軍服風衣装に、それぞれに小道具を持ったメンバーの立ち姿は正にRPG的だった。仙台公演でまっすーが剣を両手でくるくる回しているのを見たときは、そんな素敵なことがあって良いのか……と恐縮してしまった。パンフレット表紙にはN字の島の地図がデザインされていて、7つのエレメントが盛り込まれ、コンパスが描かれている。初回盤のジャケ写と同じくメンバーのイニシャルや「LOVE」が隠れていて、宝の地図のような味わい。冒険用の地図だ。

これはテーマパーク外部の現実をも成長譚の場として捉えているのではという発想、テーマパークと現実を重ね合わせる発想からの妄想である。「ネバーランドを出た後の曲」こと「U R not alone」は過去の努力してきた自分が力をくれるから、諦めないで挑戦し続けようという曲なのだけれど*5、初めて聞いたとき凄い孤独だな……?と思ったのだ。NEWSはファンとの絆が武器と言い切るようなグループである。「♪例えばこの声が届くならば誰でもいい 聞こえますか」とあるので一見ファンは宣誓の聞き手として存在しているようだけれども、どこか他者を気にする余裕なんてないような、自分の精神を強く保つことでいっぱいいっぱいの印象を受けたから、もっとファンと抱擁するような歌詞になるのが普通なんじゃないかと引っかかっていた。だけど、ここでの挑戦は非常に孤独な行為なのである。前へ進むか妥協するかという闘いは、仲間は支えてくれるかも知れないが、自分の中で答えを出さなければならない問題である以上自己変革の果てにしか勝利はない。その意味で現実は冒険になる。

不条理な現実を、因果律のきちんとした物語に仕立て上げて消化してしまう力。無念な出来事があり心くじけそうになったけれども、これだけの努力を重ねたので乗り越えましたよっていう物語を信じる力。物語=成長譚を信じる自分に自己改革できるかってことが、前へ進んでいく原動力になるのではないだろうか。NEWSが必然的に負うことになってしまった物語性は、人を選ぶものだし、私も以前は作為的でないのでセーフという微妙な言い訳でコウモリのように肯定と否定を行ったり来たりしていた。しかし改めて、何よりNEWS自身が物語を信じてきたんじゃないだろうかと思うと、それはきれいごとでうそだなんて一蹴して良いものではない気がしているのだ。

話を少し戻すと、「U R not alone」をNEWSが歌うときのファンの立場はというと、「♪例えばこの声が~やり抜くぞ」を歌うよう求められることから言って、おそらく単純な聴き手の位置を想定されていないのだろうと思う。多分自己改革の旅はいつだって孤独で当人以外は宣誓を聞くことしかできないのだけれど、コンサートで歌っているとき私はいつも「この宣誓が会場の外にまで聞こえたらいいのに」て考えていた。完全に身内気分だった。誰に何と言われようとNEWSのファンであることを一切引かないし一切負けない、そんな気持ちだった。

「NEVERLAND」というテーマパークを旅しながら、我々は自己改革の予行練習をする。丁度子供が御伽噺で育ってから社会に出ていくように。テーマパークの内外を隔てる扉をを開くとき、一方では御伽噺の世界での旅が始まって終わり、他方では現実を旅にする旅が始まって終わる。

「あやめ」に触れた手前書いておくと、この曲のテーマはご本人が述べているように*6「理想郷」「多様性」辺りをキーワードに考えて、心の奥底にある、多様性ある愛溢れる理想郷を信じて歩みを止めない……ということだと思うのですが、「♪紙で切れた指先のように 伝わらない痛みを忘れないように」「♪世界は 心の奥底にある」とあるように、多様性を認めるって他者は自分と違うということ、究極的にはみな孤独(だからこそ愛し合うのだ)ということ。だから扉を開ける=旅を始めるということが、ここでは「理想郷を諦めない」という形で、同じ孤独を伴って呼応しているのでは……という解釈を提案してみたい。

 

さて、旅に深く関わってくるのが汽車のモチーフである。

言わずもがなオープニングでは汽車が、蒸気を吐き出しながら一列になって、メインステージから花道へと進む。エンディングでは「流れ星」で汽車がメインステージに帰って行く。直球に銀河鉄道999……。ネバーランドでは汽車で旅をするのだ。セットとしてはもう1ヶ所、終盤汽車型と馬車型のスタトロが登場する。ZIPで「パレード」を意識した演出だと説明されていたが、NEWSはネバーランドのキャストであると同時に旅人(主人公)でもあるという性質を良く表していると思う。

そしてここでは勿論、汽車が出てくる楽曲「ORIHIME」「ミステリア」について。

もしかして私、汽車のこと全然注目してなくない?ということに気付いてからは、「ミステリア」が気になって仕方がなかった。アルバムの中で聴いても、きらきらしいラブソングの中でこの楽曲は異彩を放っていて、一曲くらい入っているダークで激しい雰囲気のアレなのかなと思いつつどうにも置き場所に困っていた。

それが何となく腑に落ちたのが、6/16放送の少プレである。昨年のQUARTETTOメドレーは「QUARTETTO」「Wonder」という選曲でまあ2曲で代表させるならそうなるよねって感じだったので、今年も「NEVERLAND」と何か、「BLACK FIRE」とかそれこそ「ORIHIME」かなという予想を立てていた。そこでまさかの「NEVERLAND」選曲漏れ。「ミステリア」「ORIHIME」2曲だけだと、どうにも全体の輪郭を掴みかねるというか、確かに良い曲なんだけれども必然性が良く分からなかった。しかしプレミアムショーで、コンサートでは詳細に見えていなかった「ミステリア」の振付を見てぴんと来るものがあった。Jr.が影のような動きでめちゃめちゃ「♪アイツは俺の化身か」を表現しているのである。

「ミステリア」をちゃんと読んでみよう。まず汽車が登場するのがAメロの部分。

「♪時計さえも眠る夜に 汽車に乗り込む ツアーの客はひとりだけ 欲望の旅」

Bメロで車窓から見える怪しくも美しい世界に魅入られ、サビで自分の中に潜む狂気と対峙する。大サビは「♪地下室(ジブン)の 奥の方に 潜む 自由の化身か」で、おそらくこの主人公は抑圧されている。地下室と書いてジブンと読ませるくらいなのだからそもそも自我は抑圧されていて、更にその奥の方に、これまでの自分からしてみると狂気と思われるような衝動でもって自由を求め孤独に暴れるMr.モンスターがいるわけだ。現状を打破したいという衝動に、身を任せることへの期待と恐怖。それを「欲望」と表現したのがミソだが、旅に付き纏うにふさわしい怪物である。そしてやはり、孤独に自己変革を欲求するという意味での旅を描いた楽曲だと言えそうだ。

しかしこの「もう一人の自分」というアイデア、実は最初にパンフレットの鏡のグラビアを連想した。古来より鏡は異界に繋がっているとされ、鏡を使ったファンタジー小説も多い。この合わせ鏡のグラビアも、普段見慣れているのとは対称の顔で映るメンバーに「ミステリア」のMr.モンスターを重ねると同時に、NEVERLANDは鏡の中の世界なのではと思わされた。鏡の中の世界、すなわち欲望の世界である。

コンサートでは、ドーム追加曲の「BYAKUYA」と「さくらガール」が後に続いた。月を背景に影が蠢き、「孤独/希望の化身」という言い回しも通じるものがある「BYAKUYA」に、「♪流れてゆくサクラの雪」「♪零れてゆくサクラの影」がそのままな「さくらガール」。忘れていたけれどこれどちらもラブソングである。

対して「ORIHIME」を読んでみると、汽車が登場するのはサビの部分。

「♪消えることない約束が 僕らの 999」

言わずもがな銀河鉄道999。約束が遠い星となった初恋の人と僕とを繋いでくれる、ということだろう。直接的に旅のイメージは希薄だが、いつか届くと信じて手を伸ばし続ける行為に汽車のモチーフを用いるという意味で、ラブソングと応援歌を橋渡しする効果をもたらした楽曲だったと思う。「ミステリア」を「BYAKUYA」「さくらガール」が接続したように。

コンサートでの演出も凄く良かった!そんなこと言い出したらリフターが神ってところからになってしまうけれど、とにかく花道を天の川にしてしまうのは非常に幻想的で素敵だった。リフターに乗るメンバーと花道で踊るJr.のバランスが絶妙で、Jr.がバックなわけでもメインなわけでもなく良い感じに視界に入ってくるんですよね。QUARTETTOの慶ちゃんソロ「愛のエレジー」並みの花道の有効活用。あとまっすーがね、リフターの上からJr.たちの方を覗き込んでいるのが凄いかっこよかったね……。メインステ使う時間がそもそも少ないんだろうけれど、何というか360度見せるのが上手いな~~~。バクステが丸いのも凄いよ。フルスイングは丸いステージで円になって歌ってほしいし、ポコポンペコーリャも10周年コンのときみたいで可愛くって。あと手越ソロ「I'm coming」がセンステで行われたのも最高でした。ああいう大道具使う演出大体メインステでやるけど、衣装とベッドと照明だけで2時間、みたいな演劇を見ているような迫力があってグッド。間奏の照明含め大変好みの演出だったんですが、ここのところどシンプルが続いていただけにそう思うのか知らん。

そして(笑)、ここで大きな問題になってくるのが「星の旅人たち」でしょう。終わりのない永遠に求める対象であり続ける「星」を恋愛で語るなら「ORIHIME」、夢に読み替えるなら「星の旅人たち」……だと思うんだけどなぜセトリ落ちしたんだ!「流れ星」と被ってきちゃうって辺りなんだろうけれど、別にいいじゃん皆星の曲好きだよ!

銀河を駆け巡る汽車に乗って

どこまでも続くレール辿って

輝く星 その光をけして見失わないで

流れ星 願い続けるよりも

その願いこの手でつかみたいよ

叶わないものはないと 信じているこの瞬間

終わりなき journey to the star

「流れ星」が旅と明言していなのに対して、こちらはサビを引用しただけでもう「汽車」「journey」といったフレーズが。ある意味くど過ぎるのかも知れない……「星の旅人たち」が名曲過ぎて、1曲入れると3曲くらい食っちゃう問題児なのかも知れない。あと星色が強くて、ネバーランドのテーマ性が半減してしまう扱いにくさもありそう。

結論、「ミステリア」「ORIHIME」メドレーは、汽車によるネバーランドの旅という側面にクローズアップした、アクロバティックな選曲だったのではないか。結果としてテーマパーク性、ファンタジー性は抜け落ちたものの、ある意味NEVERLANDの本質を突いているように思う。

 

 

しかし面白いコンサートだったなと改めて。Whiteのようにコンセプチュアルに振り切ると作品としての独立性が高くなるので、ある意味ファン以外にも見やすいものができる、と予想していた。実際NEVERLANDも概ねそういうものに仕上がっていた。それがおそらく「U R not alone」をどう取るかが分水嶺となって、好悪が決まるのではないかという印象である。

入れられなかったんだけれど超好きなところ(東京初日)、「サマラバ」の振付!めっちゃ可愛いので各所にリクエスト送っとこうと思います。勿論「D.T.F」!「EMMA」衣装のぺたぺたした靴が好きなんですが、そのままぺたぺた踊ってて最高でした。衣装も可愛かったね~~~シゲアキがフード被ってきたときはどうしようかと思った!「Brightest」のレーザー、メインステでやる意味があって良かったし、コヤテゴの裾が翻ってるのが綺麗だった……「恋のABO」以降のもふもふのコートもお騒がせセレブみが凄くて可愛い……。「恋を知らない君へ」は毎度のことながら神様にお願いしている美少女のようだし、「Silent Love」のラップのとき半透明でスクリーンに映るのがかっこよかったね、ダンスも余韻が残る感じでさ……あとサングラスはほんと意味分からない。初めて美恋魂見たとき、アイドルってサングラス許されるの!?てカルチャーショックだったんですが、好い加減調教されてきたのを感じる。サングラスはかっこいいもの。

それと今回特異だったのが、開演前の演出である。センステに布がかかっていて巨大な鍵が回転しており、会場には「N」「E」「V」「E」「R」(以下略)の文字の入った巨大なバルーンが吊るされていて。メインステの脇にはうねる木のセットがあったのだが、これらはどれも開演後脇に引っ込んでしまうのである(バルーンは東京公演ではスタトロの後ろについてパレードしていたけれど)。開演前は勿論閉演後、夢だけど夢じゃなかった!!!て幸せだった。

 

さて、仙台から2ヶ月、ドームで「サマラバ」と「渚のお姉サマー」が増えていたので一気に夏っぽくなり、噴水演出が爽やかで季節の流れを感じている。去年の今頃は「時をかける少女」の話をしていたんだったけれど、ということはそう、そろそろ新曲の季節でないか?

次はどんな楽曲で私をNEVERLAND送りにするのだろうか、楽しみ。

*1:シゲアキのクラウド 2017年3月28日更新分

*2:私事だが、私は浪人中NEWSに出会った。行き止まりの道で立ち往生して、試験の後のビジョンが全くなくて、カレンダーは2月で終わっていてその先はどうなるのだろう、死んでるのかな?て感覚だったところに、「愛言葉」の「♪君とみる これからの未来は」というフレーズが聴こえてきた瞬間、あっ未来ってあるんだな、今それを知るためにこのグループを好きになったんだと悟ったのだ。それこそが希望だったのだと思う。忘れもしない、冬期講習からの帰り、普段行かない千葉方面からのガラガラの夜の電車の中で、海が見えた。

*3:一番儀式めいたものを感じたのは、「チュムチュム」で「♪アーアイヤーアーアーアイヤーチュムチュムアッチャッチャ!」を振られたときだけれど

*4:シゲアキのクラウド 2017年3月22日更新分

*5:GReeeeN「UR not Alone!」に込められたメッセージ - TOKYO FM+

*6:シゲアキのクラウド 2017年4月7日更新分